中学受験国語の選択肢で消去法に切り替える、迷い方別の順番
答え合わせで、消した選択肢が正解だったと分かったら、消した理由を振り返ります。「違う気がする」という印象だけだったのか、本文の読み違いがあったのかで、確かめる箇所が変わります。
先に置いておきたいのは、消去法は最初の手段ではない、という点です。選択肢を読む前に自分の答えを作り、それと比べる。この流れは選択肢を読む前に自分の答えを作る記事で扱いました。消去法に切り替えるのは、その比べ方で決まらなかったときだけです。最後の二択は別の記事に譲ります。
切り替えるのは、比べても決まらないとき
自分の答えと選択肢を比べて決まらないとき、原因はおおむね三つに分かれます。
- 自分の答えが薄くて、どれとも比べにくい
- 自分の答えに近い選択肢が、二つ以上ある
- 自分の答えと合う選択肢が、一つもない
この三つは、同じ「決まらない」でも次にやることが違います。全部に同じ消去をかけると、消す基準がぶれます。まず自分がどれに当たるかを見分けるところから始めます。
迷い方その一 自分の答えが薄いとき
傍線部の前後を読んでも「なんとなく悲しい」くらいしか浮かばなかった、という場合です。この状態で選択肢を読むと、一番もっともらしい文に引っ張られます。
消去法では、各選択肢を本文と照合し、食い違う箇所を示します。確認する観点には次のようなものがあります。番号は誤りの大きさや、消す順番を表すものではありません。
- 本文に書かれていない人物や出来事が入っている
- 本文と正反対の内容になっている
- 主語や対象が入れ替わっている
- 原因と結果の向きがずれている
- 言い過ぎ、または言い足りない
どの観点でも本文との照合が必要です。人物や出来事の取り違えがすぐ分かることもあれば、言い過ぎの箇所が先に見つかることもあります。
例題で手順を見る
架空の場面です。傍線部は「花子は受け取った手紙を、読まないまま引き出しにしまった」。直前には「返事を書く自信がなかった」とあり、設問は「このときの花子の気持ち」を問います。
- ア 友人からの手紙がうれしくて、大切に取っておきたい気持ち
- イ 返事に困って、手紙と向き合うことを先延ばしにしたい気持ち
- ウ 友人に腹を立てて、手紙を見たくない気持ち
- エ 手紙の内容を早く確かめたいが、人目が気になって隠している気持ち
自分の答えが「困っている」程度に薄かったとします。まず、本文にない要素を探します。ウの「腹を立てて」は、前後のどこにも怒りを示す言葉がありません。エの「人目が気になって」は本文に根拠がありません。「読みたいが別の理由で読まない」という状態はあり得るので、読まない行動だけを見て「早く確かめたい」と正反対だとは決めません。
残るアとイを見ます。アの「うれしくて」は、直前の「自信がなかった」と方向が合いません。感情の向きが違うので、これも大きな誤りとして消えます。イは「返事に困って」が本文の言いかえになっており、「先延ばし」も「読まないまま」と対応します。それぞれの候補について、本文の事情と気持ちの結びつきを比べました。
迷い方その二 近い選択肢が二つ以上あるとき
自分の答えは持てたのに、それに近い選択肢が二つ三つ並んでいる場合です。このときは「どれが一番近いか」を考えないほうがうまくいきます。近いもの同士は、どれも自分の答えと同じ方向を向いているからです。
近い候補同士は、違っている語句や関係を探して本文と比べます。主語・対象・原因と結果も確認します。主語と対象の確認法も参照してください。
本文と同じ語がない部分も、言い換えとして対応しているかを確かめます。対応しない部分の長さで順位をつけず、本文と矛盾する、必要な内容が欠ける、根拠のない事情を足しているなど、誤りを具体的に示します。
迷い方その三 合う選択肢が一つもないとき
自分の答えを作ったのに、どの選択肢ともかみ合わない。このとき、自分の答えを捨てて選び直す子が多いのですが、先に確かめるのは自分の答えのほうです。傍線部の直前だけで書いていないか、設問の条件を取り違えていないかを見直し、足りない部分を足してもう一度比べます。それでも合わないときに限って、消去法へ移ります。消すときは、本文のどこと何が違うかを一つずつ確かめます。全体の流れ(マクロ)を押さえてから傍線部(ミクロ)へ降りる土台が崩れているときは、読解の型の記事に戻ってください。
消したあとに一言だけ残す
消去法で怖いのは、消した理由を覚えていないことです。冒頭のように、正解を消してしまっても、後から原因をたどれません。選択肢の横に、消した理由を短い記号で残します。
- 「なし」本文にない
- 「逆」本文と正反対
- 「主」主語や対象がずれている
- 「因」原因と結果の向きがずれている
- 「強」言い過ぎ、または弱すぎる
正解を「強」で消していたなら、程度や範囲をどう読み違えたか、本文と選択肢を比べ直します。記号だけで原因を決めません。
家庭でできる練習
- 過去に解いた選択肢問題から、答えが決まらなかったものだけを三問選ぶ
- その三問で、迷ったのが「薄い」「近いものが複数」「合うものなし」のどれだったかを、子ども自身に言わせる
- 本文との照合を一つずつやり直す。消すたびに記号を横に書く
親御さんが正解を教える必要はなく、消した理由を聞くだけで十分です。「なんとなく」と返ってきたら、本文の根拠と、候補が食い違う箇所を一緒に確認します。即答法、消去法、根拠探しの使い分けは選択肢の解法フレームの記事にまとめてあります。消した理由を本文に即して説明できるかを、練習後に確かめてください。
個別指導のご相談
消去法の順番は、お子さんが実際にどこで迷うかを見ながら整えると定着しやすくなります。ひとりで型を作るのが難しいときは、国語先生.COM の個別指導で一緒に確認する方法もあります。ご相談は公式LINEからもお気軽にどうぞ。