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中学受験国語の選択肢で最後の2択に迷う子へ 根拠で決める練習法
「2つまでは絞れるのに、最後でいつも逆を選ぶ」。中学受験国語の選択肢問題で、よく聞く悩みの一つです。
最後の2択で迷うこと自体は、必ずしも読解力不足を意味しません。2択のどちらかを選ぶ基準を持たず、全体の印象で決めている場合があります。基準を言葉にできれば、迷いを本文との照合作業へ変えられます。本記事では、選択肢問題の解法フレーム(こちらの記事で解説した即答法・消去法・根拠探し)のうち、最後の根拠探しを、実際に手を動かす練習として具体化します。
最後の2択で迷うのは「なんとなく近い」から
即答法で明らかに極端な選択肢を切り、消去法で本文と矛盾する選択肢を消すと、多くの設問で2つの選択肢が残ります。この2つは、どちらも本文の内容と大きくは矛盾していません。だからこそ迷うわけです。
ここで子どもがやりがちなのが、選択肢全体の「雰囲気」で選ぶことです。なんとなく丁寧に書いてある方、なんとなく気持ちが強く書いてある方。この選び方には基準がないので、当たる日も外れる日もあります。安定して正解にたどり着くには、雰囲気ではなく、本文の一語との対応を確認する作業に切り替える必要があります。
迷ったときに効く3つのチェック
最後の2択で使うチェックは、次の3つに絞れます。三つを同時に考えず、上から順に確認します。
| 順番 | チェック | 子どもに言わせる言葉 | 消すサイン |
|---|---|---|---|
| 1 | 本文根拠 | 「この語は本文のここ」 | 対応する言葉を指せない |
| 2 | 言い過ぎ | 「本文と同じ強さ」 | 必ず・完全に・だけ、などへ強くなる |
| 3 | 因果のずれ | 「原因はこれ、結果はこれ」 | 同じ語を使いながら向きが逆になる |
この3つを、傍線部の前後という狭い範囲に絞って当てはめるのが根拠探しの中身です。本文全体を読み返すのではなく、狭い範囲を一語ずつ突き合わせる作業だと考えてください。
本文根拠 換言の一対一対応
選択肢の中の名詞・動詞・心情語ひとつひとつについて、本文のどの語に対応しているかを指させるかを確認します。指させない語が選択肢に混じっていたら、その選択肢は本文にない内容を勝手に補っている可能性が高くなります。
言い過ぎ 断定・極端な表現
本文が「〜ということもある」「〜な面がある」という控えめな書き方なのに、選択肢が「必ず」「絶対に」「〜しかない」という言い切りに変わっていないかを確認します。方向性は合っているのに強さだけが違う、という選択肢は最後の2択で特に紛れ込みやすいパターンです。
因果のずれ 原因と結果の逆転
選択肢の「〜だから」「〜によって」の前後が、本文の因果の向きと一致しているかを確認します。使われている語句自体はほぼ同じでも、原因と結果が入れ替わっていると内容としては誤りになります。このワナは内容一致問題で特に頻出で、こちらの記事でさらに細かく扱っています。
判定表は選択肢全体ではなく「語の部品」で埋める
最後の2択をA・Bとして、次のような表を余白に作ります。○×だけでなく、本文の語を短く書くのが重要です。
| 比べる部品 | 選択肢A | 選択肢B |
|---|---|---|
| 誰・何について | 本文と同じか | 本文と同じか |
| 何をした・どう感じた | 対応する本文語 | 対応する本文語 |
| 程度・範囲 | 同じ強さか | 強くなっていないか |
| 原因→結果 | 同じ向きか | 逆転していないか |
文章全体の雰囲気ではなく、主語・述語・程度・因果という部品に分けると、二つの差が見えます。
実演 文学的文章の2択
架空の場面で確認します。傍線部が「太郎はうつむいたまま、それ以上何も言わなかった」で、設問は「このときの太郎の心情として最も適切なものを選びなさい」だとします。傍線部の直前に「本当のことを言えば、また責められるかもしれない」という太郎の内心が書かれているとします。
残った2択が、次のようだったとします。
- ア 本当のことを言うのが怖くて、口をつぐんでいる
- イ 自分の非を認めたくなくて、口をつぐんでいる
アは「言えば責められるかもしれない」という直前の記述と、換言として一対一で対応します。イは「非を認めたくない」という要素が本文のどこにも書かれておらず、読み手が勝手に補った解釈です。もっともらしく読めても、根拠が本文にない時点でイは消去され、正解はアに決まります。
このときの判定記録は「ア:怖い=責められるかもしれない/イ:非を認めたくない=本文にない」だけで十分です。長い解説を書くより、決め手になった一語を残す方が、次の問題でも再現しやすくなります。
実演 説明的文章の2択
説明的文章でも手順は同じです。本文に「若い世代の読書量は減少傾向にあるが、電子書籍の普及によって読書に触れる機会自体はむしろ増えているとの見方もある」とあるとします。
残った2択が、次のようだったとします。
- ウ 電子書籍の普及により、読書量は今後確実に回復していく
- エ 電子書籍の普及により、読書に触れる機会が増えているとの見方がある
ウは「確実に回復していく」という言い切りが、本文の「との見方もある」という留保つきの書き方より強すぎます。言い過ぎとして消去できます。エは本文の語句とほぼそのまま対応しており、強さのレベルも一致しているため、これが正解です。
ここでの判定記録は「ウ:確実≠見方もある/エ:機会が増える=本文どおり」です。「確実」と「見方もある」の強さの差が決め手です。
迷い方で弱点を切り分ける
| 迷ったときの動作 | 原因の候補 | 次の練習 |
|---|---|---|
| 本文のどこを見ればよいか分からない | 根拠を探す段階 | 傍線部・同語・指示語から範囲を狭める |
| 根拠は指せるが二つの差を言えない | 選択肢を分解する段階 | 主語・述語・程度・因果を表で比べる |
| 差は言えるのに直感で逆を選ぶ | 判定を実行する段階 | 決め手の一語を書いてから選ぶ |
| 毎回見る場所も迷い方も違う | 読解の土台または運用 | 4分類の弱点診断へ戻る |
「2択で迷う」という症状だけで、同じ問題集を全員に追加しないことが大切です。止まる動作を見て、練習を一つ選びます。
家庭でできる練習法
- 過去に解いた問題の中から、最後まで2択で迷った設問だけを集めて解き直す
- 選択肢を読んで「本文のどの語の言いかえか」を指で本文にさせてから答えさせる
- 不正解だった選択肢について、3つのチェックのどれに当てはまるかを本人に言わせる(言い過ぎか、因果のずれか、根拠がないか)
- 正解だった問題も、なぜアではなくイなのかを一語対応で説明させる
このうち特に効くのが、不正解の選択肢を「なぜダメか」で分類させる練習です。間違えた理由を分類できるようになると、次に似た構造の2択に出会ったときにどこを見ればいいかの見当がつくようになります。ただし、この根拠探しは本文全体の流れ(マクロ)を掴んだ上で傍線部(ミクロ)に降りていることが前提です。マクロが曖昧なまま2択の照合だけを練習しても効果は限定的なので、土台になる読み方はこちらの記事を先に確認しておくと練習の効果が上がります。
15分の練習記録
一度に扱うのは、過去に迷った3問までにします。各問について次の四列だけをノートに残します。
| 問題 | 残った2択 | 決め手の本文語 | ミス分類 |
|---|---|---|---|
| 例:大問2 問4 | ア・イ | 「責められるかもしれない」 | 根拠なし |
同じミス分類が3回続いたら、問題数を増やす前にその一つを集中的に直します。正解数ではなく、決め手を毎回言葉にできたかを一週間の指標にしてください。
最後の2択は、才能ではなく手順の問題です。本文根拠・言い過ぎ・因果のずれという3つのチェックを、迷うたびに口に出して確認する。この地味な繰り返しが、選択肢問題の安定した得点力につながります。
個別指導のご相談
3つのチェックの使い方は、実際の問題で繰り返し練習することで身についていきます。ひとりで練習の型を作るのが難しいときは、国語先生.COM の個別指導で一緒に確認する方法もあります。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。