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中学受験国語の随筆で筆者の考えの変化を追う、体験の前後を読む

随筆文の問題で「筆者はどう考えているか」を聞かれると正しく答えられるのに、「筆者の考えはどう変わったか」と聞かれると途端に手が止まる子がいます。考えそのものは拾えているのに、変化という時間の軸が入ると読み方が崩れてしまう。

随筆文は体験と考えが一つの文章の中に同居しており、考えが文章の中で変化することがあります。筆者がある出来事を体験する前と後で、物事の見方や評価が変わっている場合は、その変化を本文の時系列に沿って追います。

変化を読み落とす子の答案に共通すること

変化を問う設問で間違える子の答案を見ると、だいたい次のどちらかに当たります。

  • 体験の後の考えだけを答えて、変化前の考えが答案に出てこない
  • 変化の前後どちらも書いているが、何がきっかけで変わったのかが抜けている

前者は、傍線部の近くにある考えの記述だけを拾ってしまい、本文の前半に置かれている変化前の考えまで戻れていないケースです。後者は、体験の前後は書けているものの、その間をつなぐ出来事――つまり変化のきっかけ――を根拠として示せていません。どちらも、本文を「変化前の考え」「きっかけとなった体験」「変化後の考え」という三つのブロックに分けて把握できていない点が共通しています。

本文を三つのブロックに分けて読む

随筆文で考えの変化を追うときは、まず本文全体をマクロで眺め、次の三つがそれぞれどこにあるかを見当てます。

  • 変化前の考え:筆者が最初に持っていた見方や評価。多くの場合、本文の冒頭か前半に置かれる
  • きっかけの体験:筆者の見方を動かした具体的な出来事。いつ・どこで・何があったかが描写される
  • 変化後の考え:体験を経て筆者が到達した新しい見方。本文の後半、終盤近くに置かれることが多い

この三分割は、以前の記事で扱った「体験と考えを分ける」読み方(随筆文の読み方の記事)を、考えの変化を問う設問へ使う方法です。変化前の考えと変化後の考えを別のブロックとして扱い、その間のきっかけとなる体験を確かめます。

読みながら実際に線を引く作業としては、次のような印づけが効きます。

  • 変化前の考えが書かれている文に波線を引く
  • 「ところが」「しかし」「それまで〜と思っていた」など、見方が変わる手前の転換を示す語に丸をつける
  • きっかけの体験の描写(出来事そのもの)に角囲みをつける
  • 変化後の考えが書かれている文に波線を引く(変化前と区別できる印にする)

この印づけがマクロ→ミクロの大枠を固める作業になります。大枠が見えていれば、どの傍線部がどのブロックに属するかを即座に判断でき、根拠探しの範囲を無駄に広げずに済みます。

設問例で手順を実演する

「筆者の考えはどのように変化したか、変化のきっかけを含めて説明しなさい」という記述設問を例に、手順を追ってみます。

  1. 本文をマクロで読み、変化前の考え・きっかけの体験・変化後の考えの三ブロックがどのあたりにあるかを見当てる
  2. 傍線部または設問の対象が、どのブロックに関わるかを確認する。この設問は三ブロックすべてを要求している
  3. 変化前の考えを本文の言葉で確認する。ここを省くと、何が「変化」したのかが答案の中で成立しない
  4. きっかけの体験を特定する。多くの場合、変化前の考えと変化後の考えの間に置かれた一つの出来事がこれに当たる。換言(言いかえ)として「この経験から」「そのとき初めて」のような表現が近くにあれば、そこが転換点の目印になる
  5. 変化後の考えを本文の言葉で確認する
  6. 記述であれば、変化前の考え→きっかけの体験→変化後の考えの順で一文にまとめる。この順序を逆にすると、読み手に時系列が伝わらない答案になってしまう

選択肢問題であれば、まず自分の言葉で三ブロックの内容を仮に決めてから選択肢に当たる即答法を試します。選択肢の中に、変化前の考えと変化後の考えを取り違えているもの、きっかけの体験を別の出来事に置き換えているものが混ざっていることが多いため、三ブロックのどこかと矛盾する選択肢から消していく消去法も有効です。選択肢の見極め方は選択肢問題の解法フレームの記事に詳しくまとめています。

記述問題で特に注意したいのは、変化後の考えだけを書いて満足してしまう答案です。設問が「変化」を聞いている以上、変化前の状態がなければ比較が成立しません。記述の根拠集めと組み立てについては記述問題5ステップの記事でも扱っていますが、随筆文の変化型の記述では、根拠集めの段階で変化前・きっかけ・変化後の三点を意識的にセットで集める作業が普通の記述よりも一段必要になります。

変化が「段階的」に起こる文章もある

ここまでは変化前・きっかけ・変化後という三段構成を前提にしましたが、随筆文によっては、きっかけとなる体験が一つではなく複数回に分けて描かれ、考えが少しずつ変わっていく構成もあります。この場合、最初の体験の後にいったん中間的な考えが示され、さらに別の体験を経て最終的な考えに至る、という形になります。

こうした文章では、変化前と変化後の二点だけを探そうとすると、中間の考えを見落としてしまいます。本文中に「考え」を示す語尾(「思う」「感じる」「〜ではないか」)が複数回出てくる場合は、それぞれが同じ考えの繰り返しなのか、それとも段階的に変化している別の考えなのかを、都度確認する必要があります。

家庭でできる練習

随筆文を読み終えたあと、次の三つを順番に子どもに言わせてみてください。

  • 「筆者は最初、何をどう思っていたか」
  • 「どんな出来事があって、その考えが動いたか」
  • 「最終的に筆者はどう考えるようになったか」

この三つが時系列の順番通りに言えれば、変化の構造を掴めている証拠です。順番が入れ替わったり、二番目のきっかけの部分だけがうまく言えなかったりする場合は、まだ三ブロックの分離ができていません。

もう一つの練習は、間違えた問題の見直しで「自分の答えは変化前・きっかけ・変化後のどれを書き忘れていたか」を確認する作業です。この振り返りを重ねると、随筆文の変化型の設問に対して、読みながら三ブロックを自然に意識できるようになっていきます。随筆文を安定して読むための基礎そのものは、マクロ→ミクロで大枠を先に掴む読み方に行き着きます。基本の型はマクロ→ミクロで読む型の記事で確認しておくと、今回の三分割もスムーズに取り入れられるはずです。

個別指導のご相談

随筆文の考えの変化を読み取る力は、実際の文章で三ブロックを分けて読む練習を重ねることで身についていきます。国語先生.COM の個別指導では、お子さんの読み方のどこで変化を読み落としているかを確認したうえで指導しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。