中学受験「記述問題」の書き方5ステップ|ゴール設定から肉付けまで
「記述で点が取れない」「白紙で出してくる」「書けても部分点しか取れない」――中学受験国語の保護者から最も多く聞く悩みです。
ですが、記述が書けない子の多くは才能の問題ではなく、書き始める順番が間違っているだけです。逆に言えば、正しい順番(型)を入れれば、記述は今より安定して点が取れるようになります。
本記事では、指導現場で実際に使っている「ゴール設定→肉付け」の5ステップを、具体例つきで公開します。
なぜ記述が書けないのか
記述が書けない子の机を見ていると、ほぼ全員が同じ行動をします。設問を読んで、すぐに本文に戻り、書き始める。
この順番が決定的に間違っています。設問とは「ゴールはどこか」を示すものであり、ゴールを決めずに書き始めると、必ず途中で迷子になります。書いている途中で「あれ、何を聞かれていたんだっけ」と設問に戻る子は、まさにこの状態に陥っています。
5ステップの全体像
| ステップ | やること | 時間目安 |
|---|---|---|
| 1 | ゴール設定(設問を〜こと。に変換) | 20秒 |
| 2 | 根拠を本文から2つ | 60秒 |
| 3 | ゴールに向けて肉付け | 90秒 |
| 4 | 字数調整 | 30秒 |
| 5 | 見直し | 20秒 |
合計約4分。これが標準フォームです。慣れないうちは時間がかかっても構いません。まずは順番を絶対に崩さないことを優先してください。
ステップ1:ゴール設定
例えば「なぜ太郎は涙を流したのか、説明しなさい」という設問なら、ゴールは「〜から涙を流した。」の形になります。
このゴール文を、設問を読んだ瞬間にメモ欄に書き込む。これだけで残り4分の道筋が決まります。ゴールを先に固定してしまえば、その後どれだけ本文を読み込んでも、書く内容が設問からずれることがなくなります。
ステップ2:根拠を本文から2つ
ゴールが決まったら、本文に戻って「なぜ涙を流したのか」の理由を2つ探します。1つでは弱く、3つだと字数オーバーになります。2つが標準です。
このとき、どこを探せばいいか分からず本文を最初から読み返してしまう子が多いのですが、傍線部の直前・直後を中心に、本文全体の流れ(マクロ)の中で「この場面がどの位置づけか」を掴んでから探すと早く見つかります。読み方の土台はこちらの記事で詳しく扱っています。
太郎の例で言えば、本文に「ずっと隠していた本当の気持ちに気づいた」「それを兄に初めて言葉にできた」という2つの記述があったとします。これが根拠1・根拠2です。
ステップ3:ゴールに向けて肉付け
根拠が2つ揃ったら、ゴール文の前に根拠をつなげて1つの文にします。ここで大事なのは、本文の言葉をそのまま貼り付けるのではなく、設問の聞き方に合わせて言いかえる(換言する)ことです。
先の例なら、「ずっと隠していた本当の気持ちに気づき、それを兄に初めて言葉にできたから涙を流した。」という形になります。根拠1→根拠2→ゴールの順に並べるだけなので、書く内容で悩む必要がありません。ここまで来れば、記述の8割は完成しています。
ステップ4:字数調整
肉付けした文が指定字数を超えていたら削り、足りなければ本文の状況説明(いつ・どこで・誰が)を軽く足します。削るときは根拠そのものを削らず、接続語や修飾語から削るのが鉄則です。根拠を削ると、そもそも部分点の対象が消えてしまいます。
ステップ5:見直し
最後に、書いた文をゴール文と照らし合わせます。「〜から涙を流した。」という形になっているか、主語と述語がねじれていないか、設問の聞き方(理由・心情・様子のどれを聞かれているか)と答えの形が一致しているかを確認します。ここは20秒で構いませんが、省略すると得点が不安定になる工程なので必ず入れてください。
5ステップを通しで見る
まとめると、「なぜ太郎は涙を流したのか」という設問に対して、①ゴール「〜から涙を流した。」②根拠「本当の気持ちに気づいた」「兄に言葉にできた」③肉付け「ずっと隠していた本当の気持ちに気づき、それを兄に初めて言葉にできたから涙を流した。」という順に組み上がっていきます。書き始める前にゴールと根拠を先に確定させてしまうため、途中で迷子になる余地がありません。
なお、神戸女学院のように記述の配点比率が高い学校を志望する場合、この型を80字〜120字クラスの長い記述でも崩さず使えるかが合否を分けます(関西女子最難関の記述傾向はこちらでまとめています)。
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