← ブログ一覧 (更新 )
中学受験「記述問題」の書き方5ステップ|ゴール設定から肉付けまで
「記述で点が取れない」「白紙で出してくる」「書けても部分点しか取れない」――中学受験国語の保護者から最も多く聞く悩みです。
記述が書けない原因は一つではありませんが、書き始める順番を変えるだけで改善するケースがあります。設問のゴールと入れる要素を先に固定すれば、本文から何を探すかが明確になるからです。ここでは「ゴール設定→要素分解→根拠→組み立て→見直し」の5ステップを、採点要素が見える具体例とともに見ていきます。
なぜ記述が書けないのか
記述が書けない子の机を見ていると、ほぼ全員が同じ行動をします。設問を読んで、すぐに本文に戻り、書き始める。
この順番が決定的に間違っています。設問とは「ゴールはどこか」を示すものであり、ゴールを決めずに書き始めると、必ず途中で迷子になります。書いている途中で「あれ、何を聞かれていたんだっけ」と設問に戻る子は、まさにこの状態に陥っています。
5ステップの全体像
| ステップ | やること | 余白に残すもの |
|---|---|---|
| 1 | ゴール設定 | 答えの末尾 |
| 2 | 採点要素を分ける | ①・②の空欄 |
| 3 | 本文根拠を探す | 各要素に対応する語句 |
| 4 | 一文に組み立てる | 要素→ゴールの答案 |
| 5 | 条件を見直す | 設問・字数・文のねじれ |
練習では、まず順番を崩さず再現できることを優先します。制限時間は学校・問題・字数で変わるため、型が定着した後に実際の過去問へ合わせて調整します。
ステップ1:ゴール設定
例えば「なぜ太郎は涙を流したのか、説明しなさい」という設問なら、ゴールは「〜から涙を流した。」の形になります。
このゴール文を、設問を読んだ瞬間にメモ欄に書き込む。これだけで残り4分の道筋が決まります。ゴールを先に固定してしまえば、その後どれだけ本文を読み込んでも、書く内容が設問からずれることがなくなります。
ステップ2:採点要素を分ける
ゴールが決まったら、答えに必要な要素を分けます。「なぜ太郎は涙を流したのか」なら、直前の出来事だけでなく、太郎のそれまでの状態と、直前に起きた変化の二つが必要かもしれません。余白には、まだ文章を書かず「①以前の状態/②直前の変化」のように箱だけを置きます。
要素の数を最初から常に二つと決めるのではなく、設問の条件・配点・字数と本文の対比から判断します。短い理由記述なら一つ、長い説明記述なら三つになる場合もあります。
ステップ3:各要素の本文根拠を探す
要素の箱ができたら、本文に戻って対応する根拠を探します。
このとき、どこを探せばいいか分からず本文を最初から読み返してしまう子が多いのですが、傍線部の直前・直後を中心に、本文全体の流れ(マクロ)の中で「この場面がどの位置づけか」を掴んでから探すと早く見つかります。読み方の土台はこちらの記事で詳しく扱っています。
太郎の例で言えば、本文に「ずっと隠していた本当の気持ちに気づいた」「それを兄に初めて言葉にできた」という二つの記述があったとします。これを①気づき、②言葉にできた変化として、要素の箱へ対応させます。
ステップ4:ゴールに向けて一文に組み立てる
根拠が2つ揃ったら、ゴール文の前に根拠をつなげて1つの文にします。ここで大事なのは、本文の言葉をそのまま貼り付けるのではなく、設問の聞き方に合わせて言いかえる(換言する)ことです。
先の例なら、「ずっと隠していた本当の気持ちに気づき、それを兄に初めて言葉にできたから涙を流した。」という形になります。①気づき→②変化→ゴールの順に並べています。
ステップ5:条件を見直す
最後は、内容と形式を分けて確認します。
- 内容:設問が求めた要素と本文根拠が入っているか
- 形式:「なぜ」に「〜から」、「どのようなこと」に「〜こと」で答えているか
- 文:主語と述語、修飾先がねじれていないか
- 字数:指定範囲に収まり、根拠を削りすぎていないか
字数を削るときは、採点要素そのものではなく、重複した説明や不要な修飾語から削ります。字数を増やすためだけに、本文にない心情や事情を足してはいけません。
5ステップを通しで見る
まとめると、「なぜ太郎は涙を流したのか」という設問に対して、次の設計になります。
| 設計欄 | 書く内容 |
|---|---|
| ゴール | 〜から涙を流した。 |
| 要素① | 隠していた本当の気持ちへの気づき |
| 要素② | 兄へ初めて言葉にできた変化 |
| 本文根拠 | 「本当の気持ちに気づいた」「兄に初めて言葉にできた」 |
| 完成答案 | ずっと隠していた本当の気持ちに気づき、それを兄に初めて言葉にできたから涙を流した。 |
この表の「要素」と「本文根拠」を分けることが重要です。根拠は本文にある材料、要素は設問へ答えるための役割です。本文の文をそのまま並べるだけでは、材料は合っていても問いに答えない答案になることがあります。
失点の形から、止まったステップを診断する
| 答案の状態 | 止まった可能性 | 最初の修正 |
|---|---|---|
| 白紙、書き出せない | 1 ゴール設定 | 答えの末尾だけ先に書く |
| 本文を写したが質問に答えていない | 2 要素分解 | 設問の条件を①・②にする |
| 内容が想像に寄っている | 3 根拠探し | 各要素の横に本文語を書く |
| 要素はあるが文がねじれる | 4 組み立て | 要素→ゴールの一文へ並べ直す |
| 字数外、末尾が不一致 | 5 見直し | 内容と形式を別々に確認する |
白紙と部分点不足では、練習するステップが違います。ほかの読解動作も含めて原因を見たい場合は、4分類・12項目の弱点診断を使ってください。
家庭での練習は「完成答案」より設計欄を確認する
解き直しでは、模範解答を写す前に次の三点を本人へ説明してもらいます。
- 設問は、答えの末尾をどう指定しているか
- 点になる要素は何個必要か
- それぞれの根拠は本文のどこか
完成答案の表現が模範解答と違っても、必要な要素と本文根拠が対応していれば、考え方は再現できています。反対に、模範解答を暗記して書けても、この三点を説明できなければ次の問題へ転用しにくい状態です。
なお、長い記述では要素が増えても、ゴール→要素→根拠→組み立ての順は同じです。志望校の字数・設問形式に合わせた使い方は、実際の過去問で調整してください(関西女子最難関の記述傾向はこちらでまとめています)。
個別指導のご相談
「ゴール設定→肉付け」の型をひとりで身につけるのが難しい場合は、国語先生.COM の個別指導で記述の書き方を一緒に練習することもできます。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。