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中学受験国語の随筆文が苦手な子へ 体験と考えを分ける読み方

随筆文になると急に点数が落ちる。そういう相談は少なくありません。物語文は得意、説明文もそこそこ解ける。それなのに随筆文だけ読み方が定まらず、設問の意図を外してしまう。

原因の多くは、随筆文というジャンルの構造を知らないまま、物語文の感覚と説明文の感覚を交互に持ち込んで読んでしまっていることにあります。随筆文には決まった型があり、その型がわかれば、体験と考えを分けて読む手順もそのまま見えてきます。

随筆文が「中間」に見える理由

随筆文は、筆者自身の体験や出来事の描写と、その体験から筆者が導いた考えや気づきが、ひとつの文章の中に同居しています。体験の部分は物語文のように場面や情景が描かれ、考えの部分は説明文のように論理立てて主張が展開される。だから子どもの目には、物語文でもあり説明文でもある、正体のつかみにくい文章に映ります。

物語文のつもりで読む子は、体験の描写に出てくる登場人物の心情ばかりを追いかけ、そこから筆者が何を言いたいのかという結論部分を素通りしてしまいます。逆に説明文のつもりで読む子は、体験の描写を読み飛ばして考えの部分だけを拾おうとし、その考えがどんな体験から生まれたのかという根拠を見失います。どちらの読み方も、随筆文では半分しか機能しません。

体験と考えを分けて印をつける

随筆文を読むときにまずやるべきことは、本文を体験のパートと考えのパートに分けて意識することです。読みながら次のように印をつける習慣をつけると、この分離がしやすくなります。

  • 体験パート:いつ・どこで・何があったかが書かれている部分に線を引く
  • 考えパート:「思う」「感じる」「〜だろう」「〜のではないか」など、筆者の判断や気づきを表す語尾に印をつける
  • 転換点:体験から考えへ移る境目(「この経験から」「そのとき気づいたのは」など)に印をつける

この作業自体が、随筆文を読むときのマクロ→ミクロの最初の一歩になります。細部の一文一文を丁寧に読む前に、まず文章全体がどこで体験から考えに切り替わっているかという大枠を掴んでおく。この大枠が頭に入っていれば、傍線部がどちらのパートにあるのかを見て、答えの探しどころを絞り込めます。

設問例で手順を実演する

たとえば「筆者は、なぜこの出来事を今も覚えているのか」という傍線部設問があったとします。この設問は考えのパートに答えの根拠がある典型的な形です。

手順は次のようになります。

  1. 傍線部が体験パートか考えのパートかを確認する。この設問は考えのパートに属する
  2. 傍線部の直前にある体験の描写に戻り、何が起きたのかを確認する
  3. 体験と考えをつなぐ転換点の文を探す。多くの場合、そこに理由の換言(言いかえ)が置かれている
  4. 選択肢問題であれば、まず自分の言葉で答えの方向性を決めてから選択肢を見る即答法を試す。方向性が定まらなければ、体験の内容と食い違う選択肢、考えの部分と矛盾する選択肢から消していく消去法に切り替える

ここで注意したいのは、根拠探しを体験パートの中だけで終わらせないことです。随筆文の設問は、体験そのものではなく、その体験を筆者がどう意味づけたかを問うものが多くあります。体験の描写に感動して満足してしまい、考えのパートまで戻らずに記述を書いてしまう子は少なくありません。傍線部から答えを探すときは、必ず体験と考えの両方を視野に入れる意識が必要です。

記述問題でも考え方は同じです。体験の内容(何があったか)と、そこから筆者が導いた考え(何を感じ、何に気づいたか)を、両方とも文中に含める。体験だけを書くと事実の説明で終わってしまい、考えだけを書くと根拠のない感想文のようになってしまいます。この二層構造を答案の中でも再現することが、随筆文の記述で得点する鍵になります。

選択肢問題の消去法の使い方や、傍線部の根拠を本文のどこまで戻って探すかという判断は、選択肢問題の解法フレームの記事でも詳しく扱っています。あわせて、文学的文章と説明的文章それぞれの観点の違いを整理した文学的文章と説明的文章の読み方の違いの記事を読んでおくと、随筆文がなぜその中間に位置するのかがより理解しやすくなります。

家庭でできる練習

家庭学習で随筆文を扱うときは、読み終えたあとに次の二つを子どもに言わせてみてください。

  • 「この文章で筆者が体験したことは何か」を一文でまとめる
  • 「その体験から筆者は何を考えたか」を一文でまとめる

この二つが別々に言えるようになれば、体験と考えを混同せずに読めている証拠です。逆に、体験の内容を聞いているのに考えの話が混ざって出てくる、あるいはその逆になる場合は、まだ二層構造を意識できていません。

もうひとつの練習は、間違えた問題の見直しで「この傍線部は体験パートか考えのパートか」を確認する作業です。答えの根拠をどちらのパートで探すべきだったのかを振り返ることで、次に同じ構造の文章に出会ったときの読み方が安定していきます。随筆文は独立したジャンルというより、物語文と説明文の読み方を場面に応じて使い分ける文章です。マクロ→ミクロで大枠を掴む読み方の基本を固めておくことも、随筆文の安定した得点につながります。基本の型についてはマクロ→ミクロで読む型の記事にまとめています。

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随筆文の読み方は、実際の文章で体験と考えを分ける練習を繰り返すことで身についていきます。国語先生.COM の個別指導では、お子さんの読み方の癖を確認したうえで、ジャンルごとの読解を指導しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。