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小5の壁 中学受験国語で失速する子の共通点と対策

小4までは順調だったのに、小5になったとたん国語の成績が下がる。塾の面談でも「小5の壁」という言葉をよく聞くと思います。算数の壁は単元の難化として語られることが多いのですが、国語の壁は少し性質が違います。単元が難しくなるというより、文章そのものの抽象度が上がり、それまでの読み方が通用しなくなるという壁です。

結論を先に言うと、小5は「感覚で読む」段階から「型で読む」段階へ移る学年です。この移行がうまくいくかどうかが、小5後半以降の偏差値を大きく左右します。

小5の壁の正体は「抽象度」が上がること

小4までの文章は、出来事が時系列で進み、心情の変化も分かりやすく描かれているものが中心です。主人公が転んで泣いて、友達に励まされて元気になる。こうした具体的な出来事の連なりであれば、多くの子は感覚的に読み進められます。

小5になると、文章の作りが変わってきます。文学的文章では心情の揺れが複雑になり、ひとつの出来事に対して複数の感情が同時に描かれるようになります。説明的文章では、具体例が抽象的な主張を支えるための材料として配置され、対比や譲歩といった論理構造そのものを読み取らないと筆者の主張にたどり着けなくなります。

つまり小5の壁とは、文章の難易度が上がったというより、文章を読むときに扱う情報の抽象度が一段上がったということです。具体的な出来事や言葉をそのまま受け取るだけでは足りず、それらが何を表しているかを一段抽象化して捉える力が必要になります。

なぜここで型が効き始めるのか

抽象度の低い文章は、感覚で読んでもある程度点が取れてしまいます。だから小4までは「読解の型」を意識していなくても、それなりに正解できる子が多いのです。ところが小5から扱う文章の抽象度が上がると、感覚だけでは対応できる範囲を超えてしまいます。

ここで効いてくるのが、本文全体の方向をまず掴んでから細部に降りるという、マクロ→ミクロの読み方です。抽象度の高い文章ほど、一文一文を追うだけでは全体の主張を見失いやすくなります。先に「この文章は結局何を言おうとしているのか」を一文でつかんでおくと、抽象的な語句や複雑な心情描写が出てきても、それを全体のどこに位置づければよいかの見当がつけやすくなります。マクロ→ミクロの型の具体的な使い方は、こちらの記事で詳しく整理しています。

逆に言えば、小5でこの型が入っていない子は、抽象度が上がった分だけ読解の負荷がそのまま点数の下落として現れます。小5は、それまで感覚に頼っていた読み方を型に置き換える、いわば切り替えの学年です。

失速する子に共通する特徴

指導していて、小5で失速する子にはいくつか共通する傾向があります。

  • 具体的な出来事や言葉はそのまま覚えられるが、それが「何を表しているか」を一段抽象化して考えるのが苦手
  • 傍線部の前後だけを読んで解こうとし、本文全体の主張に立ち戻らない
  • 抽象語彙(たとえば「対比」「普遍性」「主体性」のような言葉)を、意味があいまいなまま読み飛ばしている
  • 設問文自体の抽象度(「筆者の考えとして最も適切なものを選びなさい」のような聞き方)に慣れておらず、何を聞かれているか掴む前に選択肢を読み始めてしまう

これらはどれも、小4までの読み方をそのまま引きずっていることが原因になっているケースが多いです。感覚で読めていた分、型を入れる必要性を本人も保護者も感じにくく、対策が後回しになりがちなところに、この壁の厄介さがあります。

設問で実演してみる

架空の説明的文章で考えてみます。「地域の祭りが、効率だけを求める現代社会の中で、あえて非効率な手間をかけ続ける理由」を論じた文章があり、傍線部で「この非効率さこそが価値を生む」とあるとします。設問は「傍線部の内容として最も適切なものを選びなさい」です。

ミクロから入ってしまう子は、傍線部の前後だけを読み、「手間がかかっている」という表面的な事実に近い選択肢を選びがちです。これは即答法で選んだつもりでも、根拠が本文全体の主張とずれているため誤答になりやすいパターンです。

マクロから入る子は、まず本文全体で「効率か、非効率か。筆者は非効率さの中にある価値を支持している」という対比構造を掴みます。そのうえで傍線部に降り、非効率な手間が何を生んでいるのか(たとえば地域のつながりや、参加する人の実感)を本文中の根拠から探し、選択肢を消去法で絞り込みます。同じ傍線部でも、先にマクロを掴んでいるかどうかで、根拠探しの精度がまったく変わってきます。選択肢問題の絞り込み方はこちらの記事、記述で同じ手順を使う場合の型はこちらの記事でも扱っています。

家庭でできる対策

小5の壁を越えるために、家庭で無理なく取り組める練習をいくつか挙げます。

  • 文章を読み終えた直後に「結局どんな話だった?」と一文で言わせる。うまく言えない場合は、まだミクロの情報だけを拾って読んでいる可能性があります
  • 本文中に出てきた抽象語(対比・普遍性・主体性など)を書き出し、自分の言葉で言いかえられるか確認する。換言できない言葉は、意味があいまいなまま読み飛ばしているサインです
  • 設問文を読んだ直後に、何を聞かれているかを子ども自身の言葉で言い直させる。選択肢を読む前にこの一手間を挟むだけで、的外れな選択を減らせます
  • 間違えた問題を、マクロを外したのかミクロで外したのかで振り返る。同じ不正解でも原因が違えば、対策も変わります

予習シリーズなど、小5で使う教材そのものの進め方についてはこちらの記事でも取り上げていますので、あわせて参考にしてください。

多くの場合、この切り替えに時間がかかるほど、抽象度がさらに上がる小6以降で苦しくなります。逆に言えば、小5のうちに型を入れておけば、抽象度の高い文章が増えていく後の学年でも読み方の軸がぶれにくくなります。

個別指導のご相談

小5の壁を越えるための読解の型は、家庭での声かけだけでなく、実際の問題演習の中で繰り返し練習することで定着します。ひとりで型を入れるのが難しいと感じる場合は、国語先生.COM の個別指導でも対応しています。ご相談は国語先生.COMまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。