中学受験国語の説明文で問いと答えを取り違えない、段落の役割の見方
説明文の答え合わせをしていると、「本文には書いてあるのに、聞かれたこととは違う」という不正解によく出会います。子ども自身は本文の言葉を使って、それらしい文を書いているので、なぜ×なのかがすぐには納得できません。よく見ると、探した場所が違うのです。理由を聞かれているのに主張段落を探している、まとめを聞かれているのに例の段落を探している。問いと答えの取り違えは、語彙力や読解力そのものよりも、どの段落に根拠があるかの見当違いから起きていることが多いです。
「書いてあるのに違う」の正体
説明文の設問では、傍線部の位置や設問の聞き方が、根拠を探す範囲の手がかりになります。傍線部が主張段落にあれば理由段落を探す設問もありますし、傍線部が理由段落にあれば、その理由がどんな主張につながるかを聞く設問もあります。設問文と本文全体を合わせて、どの段落を確認するかを考えます。
ここを意識せずに、傍線部の直前直後だけを読んで答えを組み立てると、本文中の言葉は使っているのに、聞かれている内容とはズレた答えになります。採点者から見ると「本文に書いてある言葉を寄せ集めただけ」に見え、部分点すら取りにくい答案になりがちです。
以前の記事で紹介した段落ごとの役割で読む方法は、この取り違えを防ぐための土台になります。段落を例・主張・理由・まとめに仮分けしておけば、設問が「どの役割の段落を答えさせようとしているか」を見抜く手がかりになるからです。今回はその土台を、実際の設問処理にどうつなげるかを見ていきます。
設問文には「求める段落」のヒントがある
設問文を丁寧に読むと、求めている答えがどの役割の段落にありそうか、ある程度の見当がつきます。
- 「なぜ〜なのですか」「どうして〜だと言えるのですか」:理由や根拠を探す手がかり
- 「筆者が最も言いたいことは何ですか」「筆者の考えを説明しなさい」:主張やまとめを探す手がかり
- 「〜とはどういうことですか」(換言・言いかえ):傍線部と同じ内容を別の表現で言い直している箇所を探す手がかり
- 「本文の内容と合っているものを選びなさい」:段落をまたいで全体を照らし合わせる設問
この見当をつけないまま解き始めると、傍線部の周辺だけをミクロに読んで、たまたま目に入った本文の言葉を使って答えを組み立ててしまいます。先に「これは理由を聞かれているから理由段落を見る」と決めてから本文に戻る。この一手間があるかないかで、根拠探しの精度は大きく変わります。
実演:理由を聞かれているのに主張を答えてしまう例
架空の文章で流れを確認します。次のような4段落構成の説明文があるとします。
① 最近、地域の図書館で本の貸し出し数が減っている、という現状を紹介する段落 ② その原因として、スマートフォンで手軽に情報を得られるようになったことを説明する段落 ③ 情報を得るだけなら便利だが、本を読むことでしか身につかない「考えを持続させる力」があると論じる段落 ④ だから図書館という場所を今こそ大切にすべきだ、と締めくくる段落
段落の役割を仮に振ると、①は例(現状の紹介)、②は理由、③も理由(対比を含む)、④は主張兼まとめになります。
ここで「筆者はなぜ図書館を大切にすべきだと考えているのですか、本文中の言葉を用いて説明しなさい」という設問が出たとします。この設問は「なぜ」とあるので、理由段落である②③を見るべき設問です。ところが、傍線部が④の近くにあると、④の主張をそのまま言い直して答えてしまう子が少なくありません。「図書館を大切にすべきだから」という同語反復に近い答えになり、理由になっていないと判断されて減点されます。
正しい手順は次のとおりです。
- 傍線部を確認し、それがどの役割の段落にあるかを判断する(この場合④、主張段落)
- 設問文を見て、求められているのが主張自体の言い換えなのか、その理由なのかを判断する(「なぜ」なので理由)
- 主張段落の前にある理由段落(②③)を中心に戻り、根拠を探す
- ②③の内容を、本文の言葉を使いながら、設問の聞き方に合う形に整える(換言も含む)
この手順を踏むと、答えは「スマートフォンで手軽に情報を得られるようになった一方で、本を読むことでしか身につかない、考えを持続させる力があるから」のような形にまとまります。傍線部のすぐ近くだけを読む解き方では、この②③にはなかなか戻れません。
即答法・消去法にも同じ発想が効く
選択肢問題でも、根拠を探す段落の見当をつける発想は使えます。傍線部を見たら「これは理由段落の話か、主張段落の話か」を考え、本文のどこと照合するかを見当づけます。即答法では本文から答えの方向を考えてから選択肢を見て、消去法では各選択肢を本文と照合して外します。選択肢問題の解法の流れ自体は選択肢問題の解法フレームで詳しく扱っています。
記述問題でも考え方は変わりません。ゴール設定の段階で「この設問はどの役割の段落を答えさせようとしているか」を決めてから根拠集めに入る、という順序は、記述問題を解く5つのステップの中の根拠集めの部分と重なります。段落の役割分けは、記述の土台としても機能します。
家庭でできる練習:設問カード分類
家庭で取り組みやすい練習を2つ紹介します。
- 過去に解いた説明文の設問を1問ずつ紙に書き出し、「理由を聞かれている」「主張・まとめを聞かれている」「換言を聞かれている」のどれに当たるかを子ども自身に分類させる。分類したうえで、実際に解答の根拠になった段落が、分類どおりの役割の段落だったかを見直させます。
- 不正解だった記述問題を選び、「探した段落」と「本来探すべきだった段落」を並べて書き出させる。傍線部の近くしか見ていなかった場合は、なぜ別の段落が根拠になるかを、本文のつながりから確かめます。
最初のうちは、設問文を読んでもどの段落を探すべきかの判断がつかないことも多いはずです。それでも、答え合わせのたびに「この設問はどの役割の段落を聞いていたか」を確認する作業を重ねると、設問文を読んだ瞬間に本文のどのあたりに目を向けるべきかの感覚が少しずつ育っていきます。段落の役割分けと設問文の読み方は、どちらか一方だけを鍛えても効果が薄く、両方をセットで練習することで初めて答案の精度に反映されてきます。
個別指導のご相談
説明文の設問処理は、段落の役割分けと設問文の読み方を組み合わせて練習することで身についていきます。国語先生.COM の個別指導では、お子さんがどこで根拠探しの範囲を間違えやすいかを一緒に確認しながら練習しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。