中学受験国語の説明文が読めない子へ 段落ごとの役割で読む方法
「単語の意味は分かるのに、説明文になると急に読めなくなる」という相談をよく受けます。文学的文章はそれなりに点が取れるのに、説明文だけ極端に崩れる。これは語彙力や読書量の問題というより、段落ごとの役割を意識せずに読んでいることが原因のことが多いです。
説明文が読めない子の多くは、一文一文を律儀に追いかけて、最後の一文を読み終えたころには最初の内容を忘れています。木を見て森を見ずの状態で設問に向かうので、傍線部の近くだけを読んで的外れな答えを選んでしまいます。ここで効くのが、段落ごとの役割を意識しながら読む方法です。
一文ずつ読むと迷子になる理由
説明文は、物語文のように時間の流れに沿って進みません。筆者が主張を伝えるために、例を出したり、理由を並べたり、対比を持ち出したりしながら、行ったり来たりする構成になっています。この構成を意識せずに一文ずつ均等な力で読んでしまうと、どの文が重要でどの文が補足なのかの区別がつかなくなります。
これを防ぐ考え方が、以前の記事でも紹介したマクロ→ミクロで読む型です。説明文の場合、マクロにあたるのが「この段落は何をするために書かれているか」という段落の役割です。先に段落単位で全体の骨組みを掴んでから、設問で問われた箇所だけをミクロに精読する。この順番を守るだけで、説明文の見え方はかなり変わります。
段落を4つの役割に分ける
本文全体を先にざっと見て、段落ごとに次の4つのどれに近いかを仮に振っていきます。
- 例:具体的な出来事やエピソードが書かれている段落
- 主張:筆者が言いたいことがそのまま書かれている段落
- 理由:主張を支える根拠や仕組みが説明されている段落
- まとめ:それまでの内容を整理し直している段落
すべての段落がきれいにひとつの役割だけに収まるわけではありません。ひとつの段落に例と理由が混ざっていることもあります。それでも構いません。目的は正確な分類ではなく、「この段落はだいたい何のためにあるか」を意識しながら読む習慣をつけることです。
ここで大事なのは、段落ラベルを本文を最後まで読み終わってから振り返って貼るのではなく、読んでいる最中にその都度仮決めしていくことです。「さっきの段落は例っぽかったから、この段落はたぶん理由か主張だろう」という予想を立てながら読み進めると、次に来る内容への構えができます。構えがあるかないかで、同じ文章でも読むスピードと理解の深さは大きく変わります。
実演:段落ラベルを使って設問を解く
架空の文章で流れを見てみます。ある説明文が、次のような4段落で構成されているとします。
① 最近、畑の周りに巣箱を置いてミツバチを飼う農家が増えている、というエピソードから始まる段落 ② ミツバチが花粉を運ぶことで野菜や果物の実りが支えられている、という仕組みを説明する段落 ③ もしミツバチが減れば、多くの作物が実らなくなり、私たちの食生活にも影響が及ぶ、という段落 ④ だから人間はミツバチのすみかを守る取り組みを続ける必要がある、と締めくくる段落
この4段落に役割ラベルをつけると、①は例、②は理由、③も理由(の延長)、④は主張兼まとめ、となります。ラベルを貼った時点で、本文全体の骨組みは「ミツバチを飼う農家が増えている(例)→花粉を運ぶ仕組み(理由)→減ったときの影響(理由)→だから守るべきだ(主張)」という一本の線としてつながります。
ここで「筆者がミツバチを守るべきだと考える理由を、本文中の言葉を使って説明しなさい」という設問が出たとします。段落ラベルがあれば、理由段落である②③にすぐ絞り込めます。ラベルがない状態だと、④の主張段落やわりの近くだけを読んで、理由ではなく主張をそのまま書き写してしまう、という間違いが起きがちです。選択肢問題でも同様で、根拠探しの範囲を理由段落に限定できるので、消去法をかけるときの精度が上がります。
段落ラベルは即答法の土台にもなる
段落ラベルが頭に入っていると、選択肢問題で即答法を使うときの土台にもなります。傍線部を見た瞬間に「これは主張段落の話か、理由段落の話か」を判断できれば、選択肢を読む前に本文の中でどこと対応させるべきかの見当がつきます。逆に、この見当がつかないまま5つの選択肢を並列に眺めると、どれも本文に近い言葉が使われているように見えて迷いが生まれます。段落ラベルは、こうした選択肢の絞り込み(選択肢問題の解法フレームで詳しく扱っています)を速く正確にするための土台でもあります。
文学的文章と説明的文章では、そもそも見るべき観点自体が違います。両ジャンルの読み方の違いについてはこちらの記事で整理していますので、あわせて参考にしてください。
家庭でできる練習:段落ラベル貼り
家庭で取り組みやすい練習を2つ紹介します。
- 説明文を読んだあと、各段落の横に「例」「主張」「理由」「まとめ」のどれかを鉛筆で書き込ませる。正解を求めすぎず、まず「役割を考える」こと自体を習慣にするのが目的です。
- ラベルを貼り終えたら、「結局この文章で一番言いたいことは何?」を子ども自身の言葉で一文にまとめさせる。主張段落の内容をそのまま丸写しするのではなく、自分の言葉に置き換えられているかを確認します。
最初のうちは役割の見分けが曖昧で、例と理由を混同することも多いはずです。それでも構いません。段落ごとに立ち止まって「これは何のための段落か」と自問する回数を重ねるほど、説明文全体の構造を掴む感覚は少しずつ育っていきます。
もうひとつ効果的なのが、段落ラベルを貼った文章を使って、親が「理由の段落はどこ?」「例の段落はどこ?」と質問し、子どもに該当する段落番号を答えさせる練習です。答え合わせの基準を「正しい役割かどうか」ではなく「自分の判断の理由を説明できるかどうか」に置くと、子どもも身構えずに取り組みやすくなります。役割の判断そのものに絶対の正解があるわけではないので、細かい正誤にこだわりすぎないことも長く続けるコツです。
個別指導のご相談
段落の役割分けは、説明の型だけを覚えても身につきにくく、実際の文章で繰り返し練習してはじめて定着します。国語先生.COM の個別指導では、お子さんが崩れやすいポイントを見ながら練習しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。