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中学受験国語の理由問題で原因と結果を逆にしない 因果を一文にする

「なぜ健一はチームを外れたいと言ったのか」という設問に、「チームを外れたいと言ったから」という答案を書いてしまう子がいます。本人に聞くと、本文中の言葉をちゃんと拾っているつもりだと言います。実際、拾っている言葉自体は間違っていません。ただ、その言葉を結果の位置に置くべきなのに、そのまま理由の欄に流し込んでしまっている。原因と結果が入れ替わったまま答案になっている状態です。

この手のミスは、読解力そのものが不足しているというより、因果の向きを意識せずに本文中の似た言葉を拾ってしまうことで起きます。原因と結果、それぞれの候補は本文にちゃんと存在しているのに、どちらがどちらなのかを確認しないまま組み合わせてしまう。理由問題の解き方の基本はこちらの記事で扱いましたが、今回はその中でも「原因と結果を逆にしない」という一点に絞って整理します。

原因と結果が逆転する答案の実例

次のような答案を見たことがあります。設問は「健一が試合前日に監督へ相談に行った理由を説明しなさい」というものです。

ある子の答案は「試合前日に監督へ相談に行ったから」というものでした。これは傍線部の内容をそのまま繰り返しているだけで、理由になっていません。同義反復と呼ばれる典型的な失点パターンです。

もう少し進んだ子の答案では、こう書かれていました。「監督が親身に話を聞いてくれる人だから」。一見理由らしく見えますが、これも本文の文脈と照らすとずれています。本文には「怪我の再発が不安で、誰かに背中を押してほしかった」という記述があり、監督の人柄はその不安を打ち明けた相手として登場するだけで、相談に行った直接の原因ではありません。結果(相談に行った)と、原因の候補(不安だった)、そして周辺情報(監督の人柄)の三つが本文の中に混在しているとき、結果に一番近い原因を選ばずに周辺情報を理由にしてしまうと、因果の向きがぼやけた答案になります。

傍線部を結果、本文の根拠を原因と決める

理由問題を解くときにまずやるべきことは、傍線部の内容を結果として固定し、それ以外の場所を原因の置き場所として扱うと決めることです。これは即答法とセットで使う考え方で、傍線部を読んだ瞬間に「これは結果だ、原因はどこかにある」と割り切ってしまうと、本文を読み返す目的がはっきりします。

固定した結果に対して、原因の候補を探す作業が根拠探しです。根拠探しの範囲は、傍線部の前後だけとは限りません。マクロで文章全体を場面ごとのブロックに分けたうえで、結果と直接つながっている出来事や心情の記述を絞り込みます。ここで大事なのは、見つかった記述をすぐに理由として採用しないことです。見つけた記述が本当に結果の直接の原因なのか、それとも結果の周辺にある背景情報にすぎないのかを、次の手順で確かめます。

因果を一文にするチェック

原因の候補が見つかったら、次の一文に当てはめて読んでみます。

「(候補)だから、(傍線部の内容)。」

この一文を声に出して読んだときに、違和感なくつながるかどうかを確かめます。先ほどの例で言えば、「不安で誰かに背中を押してほしかったから、監督に相談に行った。」は自然につながります。一方「監督が親身に話を聞いてくれる人だから、監督に相談に行った。」も一見つながるように見えますが、よく読むと「なぜ相談に行きたいと思ったのか」という一番知りたい部分に答えていません。監督の人柄は「誰に相談するか」を決めた条件であって、「相談に行きたいと思った」原因ではないからです。

このチェックが効くのは、原因の候補が複数あるときです。理由問題では、本文中に因果らしき記述が二つ三つ見つかることが珍しくありません。それぞれを一文の型に当てはめて、傍線部の結果に一番自然につながるものから優先順位をつけていくと、周辺情報を主要な理由と取り違えるミスが減ります。

逆転チェックのやり方

因果の一文を作ったら、今度はその向きを逆にしてみます。「(傍線部の内容)だから、(候補)。」という順番に入れ替えて読んでみるのです。

先ほどの誤答で試すと、「監督に相談に行ったから、監督が親身に話を聞いてくれる人だ。」となり、意味が通らないか、通ったとしても因果関係とは呼べない文になります。これが逆転が起きているサインです。正しい因果であれば、順方向は自然につながり、逆方向は不自然になるという非対称性が出ます。この非対称性を確認するだけで、同義反復や周辺情報の取り違えの多くを防げます。

文末表現との組み合わせ

因果の一文が固まったら、それを設問の求める文末に合わせて換言(言いかえ)します。「〜だから」の型で作った一文の前半部分を、「〜から。」または「〜ため。」の形に整えるだけなので、この段階では新しい読解作業は発生しません。

先ほどの例であれば、「怪我の再発が不安で、誰かに背中を押してほしかったから。」という形に整えます。原因と結果の向きを先に確定させてから文末を整える順番を守ると、字数調整のために言葉を削っているうちに因果の向きが崩れる、という事故を避けられます。

練習問題で手順を確認する

「由美は、発表会の前日にピアノの練習をやめてしまった。なぜこのような行動をとったのか、説明しなさい」という設問があるとします。

まず傍線部を結果として固定します。「練習をやめてしまった」がそれです。次に本文を場面ごとにブロック分けし、練習をやめる直前の場面を候補として絞ります。そこに「これ以上練習しても、緊張で頭が真っ白になる自分の姿しか想像できなかった」という記述があれば、これを原因の候補とします。

チェック文を作ります。「緊張で頭が真っ白になる自分しか想像できなかったから、練習をやめてしまった。」自然につながります。逆転チェックでは「練習をやめてしまったから、緊張で頭が真っ白になる自分しか想像できなかった。」となり、順番を入れ替えると不自然です。順方向が自然で逆方向が不自然という非対称性が確認できたので、この候補を原因として採用してよいと判断できます。最後に文末を整えて「これ以上練習しても、緊張で頭が真っ白になる自分の姿しか想像できなかったから。」とすれば答案になります。

この手順は選択肢問題の消去法とも相性がよく、選択肢の中に因果の向きが逆になっているひっかけが混ざっている場合、同じチェック文で見抜くことができます。選択肢問題の解法フレームはこちらの記事でまとめています。

家庭でできる練習

理由問題の答案を見直すときは、答案の文をそのまま「(原因)だから(結果)」の順に読み替えてみることを習慣にすると効果的です。子どもが書いた答案を「〜だから、傍線部の内容だね」と声に出して確認するだけで、原因と結果が逆になっている答案はすぐに見つかります。

もう一つ有効なのは、正解と不正解の両方について、因果の一文を作らせてから、逆方向にも読ませてみることです。正解は逆方向にすると不自然になり、不正解は逆方向にしても意味が通ってしまうことが多いので、この違いを体感させると、次からの問題で原因と結果を確認する癖がつきやすくなります。

こうした因果整理の手順は、理由問題に限らず、記述問題全体で根拠を組み立てるときの土台にもなります。記述問題の基本の手順はこちらの記事で扱っています。文章全体をマクロで捉えたうえで、傍線部という一点をミクロで確定していく読み方についてはこちらの記事で詳しく整理しています。


個別指導のご相談

因果の向きを確認する作業は、頭では分かっても、実際の答案の中では見落としがちな手順です。ひとりで因果整理の型を定着させるのが難しい場合は、国語先生.COM の個別指導で一緒に練習することもできます。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。