中学受験国語の物語文で心情を因果で答える、気持ちから結末へつなぐ
「このときの主人公の気持ちを答えなさい」という設問に対して、「悲しかった」と一語だけ書いて提出する子がいます。本文を読み違えているわけではなく、心情語そのものも合っていることがあるので、親から見ると「ちゃんと分かっているのに、なぜ点が伸びないのか」と不思議に思える場面です。設問が理由や説明も求めている場合は、心情が生まれたきっかけや、その心情を示す行動まで本文から集める必要があります。
心情問題では、感情語だけでなく、本文のどの出来事や行動を根拠にしたかを確かめます。設問の条件に応じて、出来事から心情、心情を示す行動までのつながりを答案に入れます。
一語で止まる答案が失点する理由
「悲しかった」「うれしかった」とだけ書く答案は、理由や説明を求める設問では必要な要素が足りないことがあります。答案では、次の要素が設問の条件に合うかを確かめます。
- 心情語そのものが本文の根拠と合っているか
- その心情が生まれたきっかけが、設問で求められているか
- 心情を示す行動や変化を、字数と設問の条件の範囲で入れる必要があるか
心情問題の基本となる「きっかけ→変化前→変化後」を本文から拾う読み方はこちらの記事で扱いました。ここでは、設問の条件に合わせて、拾った心情を理由つきの答案へ組み立てる方法に絞って進めます。
心情を一語で決める、そこで終わらない
答案を組み立てる手順の出発点は、変わりません。傍線部の前後にある行動・表情・情景描写から、心情語を一語で確定します。ここまでは多くの子ができています。
問題はその後です。心情語を決めたら、次の二つの問いを自分に投げかける必要があります。
- なぜその心情が生まれたのか(原因)
- その心情が、この後の行動や結末にどうつながったのか(結果)
設問が理由や説明を求めているのに、この二つを確かめず心情語だけを書いて終わると、要素が足りない答案になります。必要な要素を因果の形でつなげてから書きます。
因果を一文にする型
心情の原因と結果を整理するときは、理由問題で使う因果整理と同じ型を使います。理由問題で原因と結果を取り違えない手順はこちらの記事に詳しくまとめていますが、心情問題の場合はこれを一段階増やして、次の形に当てはめます。
「(原因)だから、(心情)。そして(心情)の結果、(結末の行動)。」
この一文が本文に照らして自然につながるかどうかを確認します。原因から心情への流れと、心情から結末への流れ、両方を別々にチェックするのがポイントです。片方だけ確認して満足してしまうと、原因は合っているのに結末とのつながりが崩れている答案になりがちです。
実例で手順を確認する
次のような場面を考えます。「亮太は、地区大会の決勝でPKを外した。チームメイトは誰も彼を責めなかったが、亮太は帰りのバスで一人だけ窓の外を見つめ続け、部屋に戻ってからもスパイクを磨こうとしなかった。」という本文で、「このときの亮太の心情を説明しなさい」という設問が出たとします。
まず心情を一語で決めます。行動描写(窓の外を見つめる、スパイクを磨かない)から、単純な悲しみというより、自分を責め続けている状態、つまり自責や後悔に近い心情だと判断できます。
次に原因を探します。マクロで場面を確認すると、PKを外したことと、チームメイトが誰も責めなかったことが本文に書かれています。このうち、亮太の自責を説明する根拠になる内容を、行動描写とつなげて確かめます。原因の候補をそのまま採用せず、傍線部の行動と一文でつないで自然かどうかを確かめる手順は、先ほどの理由問題の記事と同じです。
最後に行動とのつながりを見ます。スパイクを磨こうとしなかったという行動が、自責や後悔と合うかを本文に照らして確かめます。これで「原因(PKを外した)だから、心情(自責・後悔)。その心情を示す行動として、スパイクを磨く気になれなかった」という関係を確認できます。
答案にすると、「PKを外したことを自分で許せず、スパイクを磨く気にもなれないほど自分を責めている」というような形になります。心情語を一語で終わらせず、原因と行動を文の中に組み込んでいます。
選択肢問題での使い方
記述だけでなく選択肢問題でも、この因果チェックはそのまま使えます。選択肢の中には、心情語自体は合っているのに原因が本文とずれているもの、あるいは心情語と原因は合っているのに結末への接続が不自然なものが混ざっています。
即答法で本文から答えの方向を考えてから、選択肢を一つずつ「(原因)だから(心情)、そして(行動)」の型に当てはめて読みます。どこかで本文と矛盾する部分があれば、消去法でその選択肢を外します。残った選択肢についても、同じ型で因果が一貫しているかを確認してから選ぶと、心情語だけが合っている紛らわしい選択肢に引っかかりにくくなります。選択肢問題全体の解き方はこちらの記事にまとめています。
練習問題でもう一度確認する
「理沙は、発表会の主役に選ばれなかったことを友人の由紀に打ち明けられずにいた。由紀が『実は私も落ち込んでるんだ、理沙と同じ役を目指してたから』と言ったとき、理沙は初めて由紀の顔を見て、小さく笑った。」という本文で、「理沙の心情の変化を説明しなさい」という設問を考えます。
心情を一語で決める前に、変化前と変化後を分けます。変化前は、落ち込みを一人で抱え込んで打ち明けられない状態です。きっかけは由紀の発言、変化後は小さく笑うという行動です。
原因を確認すると、由紀も同じ目標を持ちながら落ち込んでいたという事実が、理沙にとって「自分だけが悩んでいるのではない」という安心につながったと読み取れます。これを因果の一文に当てはめると、「由紀も同じ思いを抱えていたと知って安心し、気持ちを少し和らげることができた」という形になります。原因(由紀の告白)から心情(孤独感の緩和・安心)、そして結末(小さく笑う)まで、一本の線でつながっていることを確認してから答案に書き出します。
家庭でできる練習
心情問題の答案を見直すときは、まず心情語だけを赤で囲み、その前後に「なぜその心情になったか」「その心情のあと何が起きたか」を書き足せているかを確認する習慣をつけると効果的です。心情語だけで止まっている答案を見つけたら、「どうしてその気持ちになったんだろう」「そのあと主人公はどうしたんだっけ」と声をかけ、原因と結末を自分の言葉で言わせてみます。
もう一つ有効なのは、模範解答を見るときに、心情語・原因・結末の三つの要素がどこに書かれているかを線を引いて分けさせることです。模範解答の中で心情語が占める部分は意外と短く、原因と結末の説明に字数が割かれていることに気づけると、自分の答案に何を足せばよいかが見えてきます。
物語文の読み方全体をマクロからミクロへ降りる順序で整理する基本についてはこちらの記事で扱っています。心情を一語で止めず、原因と結末までつなげて書く癖は、場面が変わっても使える型なので、繰り返し練習するほど安定して得点につながりやすくなります。
個別指導のご相談
心情を一語で決めたあと、原因と結末までつなげて答案にする作業は、本文ごとに具体例を見ながら練習することで身につきやすくなります。ひとりで因果の型を定着させるのが難しい場合は、国語先生.COM の個別指導で一緒に取り組むこともできます。中学受験国語の個別指導・体験授業のご相談は、公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。