中学受験国語の記述で接続語を選ぶ、「だから」と「しかし」の違い
記述の答案を見ると、本文から集めた要素は合っているのに、つなぎ方で意味が変わってしまう答案があります。「AだからB」と書くべき場面で「AしかしB」と書いてしまうと、本文の内容は間違っていなくても、因果関係が対比関係に変わり、設問が求める説明にならないことがあります。
接続語の空欄補充は、本文中の空欄に合う語を選択肢から選ぶ問題です。これに対して記述で接続語を選ぶ場面は、自分で集めた要素をどうつなぐかを自分で決める作業です。選ぶ対象が本文中の空欄ではなく、自分が書く答案の中にあるという点が大きく違います。空欄補充の解き方は接続語の空欄補充で扱っていますが、ここでは記述答案を書くときの接続の決め方を見ていきます。
記述でつなぎを間違えるとどうなるか
記述の採点要素は、本文から集めた語句や内容そのものだけでなく、それらをどういう関係で結ぶかも含まれます。要素が正しくても、関係を取り違えると、答案全体の意味が設問の求める内容とずれます。
架空の例で確認します。本文に次のような内容があったとします。
本文の内容:「町の工場が次々に閉鎖され、若者の働く場所が減った。そのため、町を出て都市部で働く若者が増えた。」
設問:「町を出て都市部で働く若者が増えたのはなぜか、説明しなさい。」
ここで集める要素は「工場の閉鎖」と「働く場所が減ったこと」の二つです。答案を書くとき、この二つを「工場が閉鎖されたから、働く場所が減った」と順接でつなぐのが正しい関係です。もし「工場が閉鎖されたが、働く場所が減った」のように逆接でつなぐと、本文にある因果関係が、対立しているかのような文になってしまいます。要素自体は本文から正しく集めていても、つなぎ方を誤ると採点者には関係を理解していないと判断されます。
因果と対比を区別する
記述でよく使う接続の型は、大きく分けて二種類あります。
- 因果:前の内容が原因・理由となり、後ろにその結果が続く(だから・そのため・その結果)
- 対比・逆接:前の内容と後ろの内容が対立する、あるいは食い違う(しかし・一方で・それに対して)
この二つを区別するには、ゴールとなる答えの文末を先に決めてから、要素同士の関係を考える手順が有効です。記述の書き方全体の手順は記述問題の書き方5ステップで解説していますが、要素を集めた後にどうつなぐかを決める段階で、接続の判断が必要になります。
設問が「なぜ〜か」「〜の理由を説明しなさい」という形なら、答えの文末は「〜から。」「〜ため。」になり、要素同士は多くの場合因果でつながります。一方、「〜はどう変化したか」「AとBの違いは何か」という設問では、変化の前後や二つの対象を対比でつなぐ場面が出てきます。設問の形から、答案全体がどちらの構造を求めているかを先に確認します。
二つの理由をつなぐときの接続
理由を二つ書く記述では、二つの理由をどうつなぐかでも迷いが生じます。例えば「太郎が涙を流した理由を二つ説明しなさい」という設問で、「友人に裏切られたこと」と「頑張ってきた努力が無駄になったこと」という二つの要素を集めたとします。
この二つは、原因が結果を生むような因果関係ではなく、同時に起きている二つの事実です。この場合は「また」「そして」のような並列の接続で結びます。「友人に裏切られたこと、そして頑張ってきた努力が無駄になったことから、涙を流した」のように、二つの理由を並べたうえで、全体の結果につなげる形です。もし二つの理由の間に本文上の因果関係があるなら、それを無視して並列で書くと、本文の構造を正しく反映できません。理由を二つ書く記述の条件については理由を二つ書く記述でも確認できます。
選択肢問題の接続語判定と記述の接続は別の作業
選択肢問題で接続語の空欄を解くときは、即答法で前後の関係を先に決め、消去法で選択肢を絞り込みます。記述で接続を決めるときも、本文の因果・対比の関係を先に確認するという点は同じですが、選ぶ対象が自分の答案の中にあるという違いがあります。
この違いを混同すると、記述の見直しのときに「本文中の接続語は何だったか」を探してしまい、自分の答案の論理構造を確認する作業がおろそかになります。見直すべきは、本文中の接続語そのものではなく、自分が集めた要素同士の関係が、答案の接続語と一致しているかどうかです。
架空の答案例で見直し方を確認します。
設問:「筆者が便利さを追い求めることに疑問を持った理由を説明しなさい。」 本文の内容:「便利な家電が増え、家事の時間は減った。しかし、家族と話す時間も減り、会話が少なくなった。」
ここで集める要素は「家事の時間が減ったこと」と「家族との会話が減ったこと」で、本文ではこの二つが逆接でつながっています。答案を「家事の時間が減り、家族との会話も減ったから」と書くと、二つの要素が並列のように見え、本文にある対比の構造が消えてしまいます。本文の対比を反映するなら「家事の時間は減ったが、家族との会話も減ったから」のように、逆接の構造を答案にも残す必要があります。要素だけ合わせて満足せず、本文の関係をそのまま答案の接続に移せているかを確認します。
家庭でできる練習:要素をつなぐ前に関係を声に出す
家庭学習では、記述の下書きで要素を書き出した後、答案を書く前に「この二つは原因と結果」「この二つは対立している」と声に出して確認する練習が有効です。接続語を書いてから関係を考えるのではなく、関係を決めてから接続語を選ぶ順序を守ります。
書いた答案は、要素が本文から正しく集められているかと、要素同士の関係が本文の因果・対比と一致しているかを分けて確認します。文章全体の構造をとらえる読み方はマクロ→ミクロの読み方でも扱っていますが、記述ではこの構造を自分の答案の接続にも反映させる必要があります。答案の○×や部分点の判断は、最終的に指導者に確認することをおすすめします。
個別指導のご相談
記述で要素は合っているのにつなぎ方で減点が続く場合は、本文の因果・対比の構造と答案の接続語が一致しているかを一度一緒に確認すると見直しやすくなります。ご相談は国語先生.COMまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。