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中学受験国語の記述で理由を二つ書く、同じ内容を重ねない方法

「理由を二つ答えなさい」という設問で、答案が二文に分かれているのに、読み返すと同じことを言葉を変えて書いているだけ、ということがあります。本人は二つ書いたつもりなので、何が足りないのか自分では気づきにくい状態です。

これは材料が足りないのとは別の問題です。記述で要素が足りない子の材料集めの手順では、本文から根拠を拾う段階そのものが止まっているケースを扱いましたが、理由を二つ求められたときは、材料はすでに本文にあるのに、同じ材料を二回使ってしまうところでつまずきます。

二つ書いたのに一つしかない答案

架空の設問で見てみます。「進と健吾は幼なじみで、ずっと二人で自転車の練習をしてきた。進が一人で練習会場に向かったのはなぜか。理由を二つ、それぞれ本文の言葉を使って説明しなさい」という設問だとします。

ある答案は次のようになっていました。

  • 一つ目「健吾と一緒に行くと気まずかったから。」
  • 二つ目「健吾と顔を合わせづらかったから。」

一見、別々の文に見えます。しかし「気まずい」と「顔を合わせづらい」は、同じ心理状態を言葉だけ変えて書いています。設問は理由を二つ求めていますが、この答案が示しているのは一つの理由を二回言っただけです。

同じことが起きるもう一つのパターンは、原因は同じまま結果側の表現だけを変えてしまう場合です。「一人で練習しようと思ったから。」「健吾を誘わなかったから。」この二つも、進が「健吾を避けた」という一つの行動を、視点を変えて言っているだけで、理由としては一つしかありません。

言い換えと別原因の違い

二つの文が本当に別の理由になっているかどうかは、次の基準で確かめます。

  • それぞれの文から主語と述語を抜き出し、別々の出来事・心情を指しているかを確認する
  • 一方の文の内容を本文から消しても、もう一方の文だけで答えとして成立するかを確認する
  • 二つの文が、本文の離れた箇所(別の段落や別の場面)にそれぞれ根拠を持っているかを確認する

先ほどの例で言うと、「気まずかった」も「顔を合わせづらかった」も、本文の同じ一文(たとえば「健吾の顔を見ると、昨日の失言を思い出して気まずかった」)から拾っていたとしたら、根拠が一箇所しかない時点で、二つ目の理由にはなっていません。

本文に根拠が二箇所あるかどうかは、マクロ(本文全体の流れ)を掴んでからミクロに降りて確かめます。読解の型全体はこちらの記事でまとめていますが、理由を二つ探す場面では特に、本文を場面ごとに区切って、それぞれの区切りに理由らしき記述があるかを探す作業が必要です。

練習問題で手順を確認する

先ほどの設問にもう一度戻ります。「進と健吾は幼なじみで、ずっと二人で自転車の練習をしてきた。進が一人で練習会場に向かったのはなぜか。理由を二つ、それぞれ本文の言葉を使って説明しなさい」

まず傍線部を確認し、「一人で向かった」という結果を固定します。次に本文を前半と後半に分けて探します。

前半に「健吾は、進が去年の大会で自分より速くなったことをずっと気にしていて、二人で走るたびにぎこちない空気が流れていた」という記述があったとします。これは二人の関係そのものに関わる理由です。

後半に「進は、今日は誰にも邪魔されず、自分のペースだけでタイムを縮めたいと思っていた」という記述があったとします。これは進自身の練習の目的に関わる理由で、健吾との関係とは別の話です。

この二つは、根拠の場所も、指している内容(人間関係の気まずさ/自分の練習への集中)も異なるので、別々の理由として成立します。答案にすると「健吾との間に、去年の大会以来ぎこちない空気があったから。」「今日は誰にも邪魔されず、自分のペースで練習したかったから。」となります。

もし本文の後半に「自分のペースで練習したい」という記述がなく、前半の人間関係の話しか根拠がなかった場合は、理由は一つしか立てられません。その場合は、一つの理由を字数の中でどう詳しく書くかという別の調整に切り替えます。二つ目を無理に作ろうとして、同じ根拠を言い換えるのは避けます。

即答法と消去法で候補を絞る

理由が本文中に二箇所以上見つかりそうな設問では、まず即答法で、設問と傍線部から「どんな種類の理由が求められていそうか」を考えてから本文に戻ります。関係性の理由と、本人の目的の理由のように、性質が違う理由が複数ありそうだと見当をつけておくと、本文を探すときに同じ箇所ばかり読み返さずに済みます。

選択肢問題で理由を選ぶ設問の場合は、候補となる選択肢それぞれを本文と照合し、矛盾するものを消去法で外していきます。このとき、二つの選択肢が実は同じ内容の言い換えになっていて、どちらも本文と矛盾しない、という場合があります。選択肢問題で最後の二択に絞ったあとの比べ方はこちらの記事で扱っています。記述でも選択肢でも、二つの候補が別の内容を指しているかを確かめる作業は共通しています。

字数調整で起きる言い換え事故

もう一つ注意が必要なのは、はじめは別々の理由として書けていたのに、字数を削る過程で一方の文がもう一方と似た表現になってしまう場合です。「〜という事情があったから。」「〜という気持ちがあったから。」のように文末を揃えて短くする際、肝心の主語や内容まで削ってしまうと、読み手には同じことを言っているように見えてしまいます。

字数を削るときは、文末表現ではなく、まず本文の言葉のうちどれが削れて、どれが残さなければならない核かを確認します。記述の字数調整の考え方はこちらの記事で扱っていますが、理由が二つある設問では、削った後も二つの文がそれぞれ別の根拠箇所を指しているかを、削る前後で見比べることが欠かせません。

家庭でできる練習

  • 理由を二つ以上求める設問で、答案の二つの文からそれぞれ主語と述語を抜き出し、別の出来事・心情を指しているかを確認する
  • 一方の文を隠して、もう一方の文だけで理由として本文に対応するかを確かめる
  • 二つの文のどちらが本文のどの段落・場面に対応しているかを指で示し、根拠の場所が重なっていないか確認する

採点や部分点の判断は、答案と本文の対応をそろえたうえで指導者に確認してください。家庭では、二つの文が別の根拠を持っているかどうかの確認までにとどめます。

個別指導のご相談

理由を二つに分ける作業は、本文を読み返しながら根拠の重なりを確かめる地道な練習が必要です。ひとりで見分けるのが難しい場合は、国語先生.COMの個別指導で一緒に確認することもできます。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。