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中学受験国語の記述で要素が足りない子へ 本文から材料を集める手順

「内容は合っているのに部分点しかもらえない」。中学受験国語の記述でよく聞く悩みです。原因を答案の書き方だと思いがちですが、実際は書く前の段階、つまり材料集めの量が足りていないことがほとんどです。

記述の得点は、答案に含まれる要素ひとつひとつに部分点が積み上がる方式で採点されることが多く、要素が1つ足りなければそのまま点数も1つ分減ります(要素点方式の詳しい仕組みはこちらで扱っています)。つまり記述力とは、きれいな文章を書く力である以前に、必要な要素を本文から漏れなく拾う力です。

記述の基本手順は「ゴール設定→根拠集め→肉付け→字数調整→見直し」の5ステップで、この全体像はこちらの記事にまとめています。

要素が足りない子がやっていること

要素不足の子を観察すると、ほぼ全員が同じ順番でつまずいています。設問を読んだらすぐ傍線部の一文だけを見て、そこから思いついた内容をそのまま書き始めてしまうのです。

本文全体を見渡す前に書き始めるので、拾える要素は最初に目についた1つだけになります。模範解答が2つ、3つの要素を要求している設問でも、答案には1つしか書かれていない。これが「内容は合っているのに部分点」の正体です。

さらに厄介なのは、要素が1つしかない状態で書き始めても、文章としては最後まで書き切れてしまうことです。文がきちんと完結していると、本人は「書けた」という達成感を持ってしまい、要素が足りていないことに自分では気づけません。だからこそ、書き終わったあとに直すのではなく、書く前の材料集めの段階で要素の数を確認する仕組みが必要になります。

材料を拾う3つの場所

要素集めで見るべき場所は、傍線部そのもの、設問条件、前後の文脈の3つです。順番にこの3か所を確認するだけで、思いつきで書き始める癖はかなり減ります。

  • 傍線部そのもの:傍線部の中に、換言(言いかえ)が必要な語や比喩表現がないかを確認する。そこがそのまま要素の1つになることが多い
  • 設問条件:「本文中の言葉を使って」「30字以内で」「きっかけとなった出来事にふれて」などの条件文を読み、条件が要求している要素の数を数える
  • 前後の文脈:傍線部の直前・直後の文に、理由や心情の変化を示す表現がないかを探す。マクロ(本文全体の流れ)を掴んだ上でミクロに降りると見つけやすくなります(読解の型についてはこちら)

この3か所を機械的に確認する習慣がつくと、本文のどこを読み返せばよいかで迷う時間そのものが減っていきます。

設問で流れを確認する

架空の設問で流れを確認します。「主人公が『もう歩けない』とつぶやきながらも、再び足を踏み出したのはなぜか。本文中の言葉を使って説明しなさい」という設問だとします。

まず傍線部そのものを見ます。「もう歩けない」という発言と「再び足を踏み出した」という行動が矛盾しているので、この矛盾を埋める要素が答えの核になりそうだと見当をつけます。

次に設問条件を確認します。「本文中の言葉を使って」とあるので、自分の言葉で創作するのではなく、本文の該当箇所を探して引用に近い形で使う必要があると分かります。

最後に前後の文脈を探します。傍線部の直前に「振り返ると、仲間たちがまだこちらを見ていた」、直後に「その視線に、弱音を見せるわけにはいかないと思い直した」とあったとします。ここから「仲間が見ていることに気づいた」「弱音を見せられないと思い直した」という2つの要素が拾えます。

この段階で初めて、傍線部の矛盾(材料1の手がかり)、設問条件(書き方の制約)、前後の文脈(要素2つ)がそろいます。書き始めるのはこのあとです。ゴールを「〜と思い直したから。」に設定し、拾った2つの要素を根拠として並べれば、記述5ステップのステップ3(肉付け)にそのまま進めます。

要素はいくつ集めればよいか

目安として、記述の指定字数が40字前後なら要素1つ、60〜80字なら要素2つ、100字を超えるなら要素3つというのが、指導現場での感覚に近い比率です。ただし学校や設問によって配点の割り振りは変わるため、あくまで材料集めの段階で「足りているか」を自分に問うための目安として使ってください。

集めた要素が1つしかない場合、答案を書く前にもう一度、前後の文脈を読み直す価値があります。多くの場合、2つめの要素は傍線部から少し離れた場所、たとえば同じ場面の少し前の描写や、直後の会話の中に隠れています。1つの要素だけで書き始めてしまうと、あとから付け足すのは難しくなるので、この確認は書き始める前に済ませておくのが安全です。

家庭でできる練習

  • 記述問題を解く前に「要素は何個必要そうか」を口に出させる。字数と設問条件から先に予想させると、集める材料の数に意識が向く
  • 丸つけの際に「要素がいくつ拾えていたか」を数える。丸バツではなく拾えた要素の数で振り返ると、本文のどこを見落としていたかが具体的に分かる
  • 傍線部だけを隠して前後の文だけを読ませる練習をする。傍線部に頼らず前後の文脈から意味を推測する力がつくと、要素を拾える範囲が自然と広がっていく

個別指導のご相談

材料集めの手順はひとりで練習しづらい部分でもあるので、うまくいかない場合は国語先生.COMの個別指導で一緒に確認することもできます。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。