中学受験国語の記述で減点される答案の共通点と直し方
記述の答案を見て、どこで減点されているのか説明できるでしょうか。「なんとなく惜しい」「もう少し書けそう」という感覚はあっても、原因を一言で言えないことが多いはずです。原因が分からないまま直しをしても、次の記述でまた同じ失敗を繰り返します。
記述の減点は、実はそれほど種類が多くありません。子どもの答案を数多く見ていくと、減点の原因はおおむね次の4つの型に収まります。
- 抜け 書くべき要素が足りていない
- ずれ 傍線部や設問の聞かれ方と答えの焦点が合っていない
- 言い過ぎ 本文に根拠のないことまで書いてしまっている
- 本文から離れる 自分の経験や一般論で埋めてしまっている
この4類型を知っておくと、家庭での丸つけが「なんとなく減点」から「どの型の失敗か」に変わります。以下では型ごとの見分け方と、家庭でできる直しの練習を順に見ていきます。減点の基準そのものについては記述の採点基準と親の丸つけ7チェックで詳しく扱っているので、あわせて読んでいただくと丸つけの精度が上がります。
型1 抜け 要素が足りていない
もっとも多い減点の原因が、この「抜け」です。書くべき要素のうち一つか二つが欠けている状態で、答案自体は一見それらしく整っているため、書いた本人も気づきにくいという特徴があります。
抜けが起きる理由は、書き始める前の材料集めが不十分なことです。傍線部を見た瞬間に思いついた一つの理由や気持ちだけで書き始めてしまい、本文の中に他にも根拠があることを見落としています。
例えば「なぜ主人公は黙って部屋を出て行ったのか」という設問に対して、「兄に怒られたから」とだけ書いた答案があるとします。本文を読み返すと、実は「怒られたこと」に加えて「自分の失敗を認めたくない気持ち」も傍線部の直前に描かれている場合、この答案は要素が一つ抜けていることになります。
家庭でのチェック方法は次の通りです。
- 傍線部の前後2〜3文を、答案を見ずにもう一度読み直す
- そこに書かれている要素を全部書き出す
- 書き出した要素と答案を照らし合わせ、抜けているものに印をつける
要素を集める手順そのものは記述で要素が足りない子へ 本文から材料を集める手順で細かく解説しているので、抜けが続くようなら手順から見直すとよいでしょう。
型2 ずれ 聞かれ方と答えの焦点が合っていない
内容自体は本文から正しく拾えているのに、設問が聞いている角度とずれているために減点される答案もあります。これは抜けよりも見つけにくく、直しの優先度も高い型です。
典型的なのが「気持ちを書きなさい」という設問に対して、行動や出来事の説明で答えを埋めてしまうケースです。「友達に謝られて許した」という文は出来事の説明であって、気持ちの説明ではありません。設問が聞いているのは「許した気持ちがどう変化したか」であり、答えの焦点が動詞の説明にずれています。
同じように、「理由を書きなさい」に対して結果を書いてしまう、「どういうことか説明しなさい」という換言の問題に対して具体例だけを並べてしまう、というずれも頻出します。理由を問う問題の考え方は記述の理由問題「なぜ」を根拠から書く方法で扱っています。
ずれを防ぐには、書く前に設問文を分解する習慣が有効です。
- 設問文の述語(「気持ちを」「理由を」「どういうことか」)に印をつける
- 自分が今から書こうとしている答案の最後の一文が、その述語と対応しているか確認する
- 対応していなければ、末尾の一文から書き直す
即答法で傍線部の答えの型を先に決めてから、根拠を探して肉付けする順序を守ると、このずれはかなり減ります。
型3 言い過ぎ 根拠のないことまで書いている
3つ目の型は、本文にない情報を答案に加えてしまう「言い過ぎ」です。要素を集める段階では正しく読めているのに、文章としてまとめる段階で、自分の解釈や推測を足してしまうことで起きます。
例えば、本文には「涙をこらえて笑った」としか書かれていない場面で、「本当は悲しかったが、家族を心配させたくないという優しさから笑顔を作った」まで書いてしまうケースです。「優しさから」という部分は、読み手としては自然な解釈に見えても、本文にその根拠となる記述がなければ言い過ぎです。
言い過ぎが起きやすいのは、次のような場面です。
- 本文に書かれていない因果関係を、自分の想像で補ってしまう
- 気持ちの強さや程度(「とても」「心の底から」など)を、本文の描写以上に強調してしまう
- 一つの場面の解釈を、本文全体の性格づけにまで広げてしまう
直し方としては、答案を書き終えたあとに、一文ずつ「この部分はどの本文の記述から来ているか」を指差して確認する練習が効果的です。指差せない部分は、消去法で選択肢を絞るときと同じ発想で、答案から消去していく感覚を持たせるとよいでしょう。
型4 本文から離れる 経験や一般論で埋めている
最後の型は、本文の内容ではなく、自分の実体験や世の中の一般論で答案を埋めてしまうケースです。抜けや言い過ぎよりも根が深く、直すのに時間がかかる型でもあります。
「友達とけんかしたときの気持ちを説明しなさい」という設問に対して、自分自身の友達関係の経験をもとに「悔しくて悲しい気持ち」と書いてしまう子どもは少なくありません。答え自体が的外れに見えなくても、本文のその場面特有の描写を根拠にしていなければ、記述としては評価されません。
この型は、本文を根拠にして答えを作るという意識そのものが弱いために起きます。日頃の読解でも傍線部の近くだけを見て答えを作る癖がついていると、記述でも同じ癖が出てしまいます。
家庭での対策としては、次のような声かけが有効です。
- 「その答え、本文のどこに書いてある?」と聞き、該当箇所を指させる
- 指させなければ、一度答案を白紙に戻してもう一度本文を読み直させる
- 「もし本文にこの場面がなかったら、その答えは書けた?」と問いかけ、本文依存度を意識させる
マクロ→ミクロの読み方で場面全体の位置づけをつかんでから傍線部に戻る習慣があると、この型の減点は大きく減ります。読解の型そのものについては偏差値を上げる読解の型 マクロ→ミクロで読むにまとめています。
4類型を使った家庭添削の手順
4つの型を知っただけでは、実際の丸つけには使えません。子どもの答案を見るときは、次の順番でチェックするとやりやすくなります。
- まず設問文の述語を確認し、答案の末尾がそれに対応しているか見る(ずれのチェック)
- 次に傍線部前後を読み直し、答案に含まれていない要素がないか探す(抜けのチェック)
- 答案の一文ごとに、本文のどの記述が根拠かを指させる(言い過ぎ・本文から離れるのチェック)
- 最後に、直すべき型に印をつけて、その型だけを意識して書き直させる
一度に4つ全部を直そうとすると、子どもは何を直しているのか分からなくなります。今日はずれだけ、次は抜けだけ、というように一つの型に絞って直す方が、実感を持って改善できます。
個別指導のご相談
記述の減点パターンは家庭でも見分けられますが、どの型の失敗が多いかは子どもによって偏りがあり、継続的に見ていく中で初めて傾向がつかめることも少なくありません。国語の記述指導にご関心のある方は、国語先生.COM をご覧いただくか、公式LINE からお気軽にご相談ください。