中学受験国語の要旨問題でまとめがずれる子へ 主張を見つける手順
「要旨をまとめなさい」という設問で、文章の内容は理解していても、具体例や細かな説明を拾って主張を落としてしまうことがあります。本文のどこに主張が書かれているかを確かめず、目についた一文をつないで答案にすると、要旨がずれます。
要旨問題は「主張の換言」を聞いている
要旨問題では、筆者が一番言いたいこと、つまり主張を本文全体からつかみます。設問の条件に合わせて、主張を支える理由や対比も選び、本文の言葉を使いながらまとめます。
本文の流れを順番になぞって短くしただけの答えは、要旨としては評価されにくいです。ミツバチと農作物の関係を説明する文章があったとして、「ミツバチが花粉を運んで作物を実らせている」という説明部分だけを縮めても、それは要旨ではなく要約の一部にすぎません。筆者がその説明を通じて何を訴えたいのか、そこまで踏み込んで初めて要旨になります。
以前の記事で扱った段落ごとの役割で読む方法を思い出してください。段落を例・理由・主張・まとめに仕分ける読み方は、要旨問題を解くための土台です。主張やまとめを中心に、主張を支える理由や対比との関係も確かめます。
まとめがずれる子に共通する読み方
要旨がずれる子の答案を見ると、共通する読み方の癖があります。本文を頭から順番に読み、印象に残った一文をそのまま拾ってつなげてしまうという癖です。印象に残る一文は、具体例やエピソードであることが多く、そこには筆者の主張そのものは書かれていません。
もうひとつの癖は、傍線部や設問文の近くだけを読んで答えを作ってしまうことです。要旨問題は本文全体が対象なので、傍線部の近くだけにこだわると全体の骨組みを見失います。マクロ→ミクロで読む型でいえば、まずマクロで本文全体の主張をつかみ、必要な理由や対比をミクロで確かめます。本文全体を読み終えた時点で「結局この文章は何が言いたいのか」を一文で言えるかを確かめます。
主張を見つける3つの手がかり
主張は本文のどこにでも均等に散らばっているわけではありません。多くの場合、次の3つの箇所のどれかに集中しています。
- まとめ段落:本文の終わりのほうで、それまでの内容を整理し直している段落。「このように」「つまり」といった言葉で始まることが多く、筆者がここまでの話を一言で言い直そうとしている箇所です。
- 逆接のあと:「しかし」「だが」「ところが」の直後は、筆者がそれまでの一般的な見方をいったん否定して、自分の立場を示す位置になりやすい箇所です。逆接の前は前提や世間の見方、逆接のあとに本音が来る、という構造は説明文で頻繁に使われます。
- 繰り返し語:本文中で形を変えながら何度も出てくる語やフレーズは、筆者がこだわっているキーワードである可能性が高いです。同じ語がそのまま繰り返されるとは限らず、似た意味の言葉で言いかえられていることも多いので、表現の違いに惑わされず内容でつなげて拾う意識が必要です。
3つとも本文全体を読まないと見つけられない手がかりです。だからこそ、要旨問題は一文ずつの精読よりも、まず通読してマクロを掴むことが優先されます。
実演:設問を解く手順
架空の文章で流れを見てみます。ある説明文が「効率を重視した都市の暮らしが便利さをもたらす一方で、人と人とのつながりが薄れている」という話から始まり、途中で地域の祭りや商店街での交流の例が挙げられ、「しかし、こうしたつながりは失って初めてその価値に気づくものだ」という一文をはさみ、最後に「このように、便利さと引き換えに失われるものを意識しながら暮らしを設計していく必要がある」という段落で締めくくられているとします。
この文章で「本文の要旨を80字以内でまとめなさい」という設問が出たとき、まとめ段落の「便利さと引き換えに失われるものを意識しながら暮らしを設計していく必要がある」という一文を中心に考えます。逆接のあとの「つながりは失って初めてその価値に気づく」も、筆者の主張が出ている箇所として根拠探しの対象になります。祭りや商店街の交流は、字数と設問の条件に応じて、主張を支える例として扱います。
ここから、設問の文末と字数に合わせて答案を組み立てます。本文中の言葉を使い、必要な所だけ換言します。「便利さと引き換えに失われるもの」を「効率化がもたらす弊害」、「意識しながら暮らしを設計していく」を「バランスを考えて生活を見直す」のように言いかえる場合も、本文の主張と合うかを確認します。記述問題全般に共通する換言の練習は記述問題を解く5つのステップでも扱っているので、あわせて確認してみてください。
家庭でできる練習
要旨を見つける力は、一朝一夕には身につきません。家庭で無理なく続けられる練習を2つ紹介します。
- 説明文を読み終えたあと、まとめ段落だけに印をつけさせ、「この段落だけを読んで文章全体の話ができるか」を確認する。まとめ段落を軽視して読み飛ばす癖がある子には、特に効果的です。
- 本文中の逆接の接続語すべてに丸をつけさせ、その直後の一文だけを抜き出してノートに書き写させる。書き写した文をつなげて読むだけで、要旨に近い骨組みが見えてくることが多く、子ども自身が「主張はここに集まっている」と実感しやすい練習です。
最初のうちは、まとめ段落や逆接のあとを見つけても、そこに書かれていることをそのまま丸写ししてしまいがちです。多くの場合、丸写しから少しずつ自分の言葉に置き換える練習を重ねることで、要旨は安定していきます。焦らず、まずは主張の場所を探す習慣づけから始めてみてください。
個別指導のご相談
要旨問題は、主張の場所を見つける読み方と、本文の言葉を自分の言葉に置き換える換言の練習を組み合わせて初めて安定します。国語先生.COM の個別指導では、お子さんがどこでつまずいているかを見ながら練習しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。