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中学受験国語の指示語を直前だけで決めない、四手順の探し方

「それ」は何を指すか。傍線部の直前にある名詞を丸で囲み、そのまま選ぶ。直前の名詞だけで決めると、文全体や出来事を指す場合に答えの範囲が足りなくなります。直前にある語が、たまたま同じ話題をしているとは限らないからです。

たとえば「この考えによって、町の人々は行動を変えた」とあれば、「この」の戻り先は一語とは限りません。「考え」の中身を説明する一文や、複数の文にまたがる出来事をまとめて指すことがあります。指示語だけを孤立させず、文全体の主語と述語を確かめると、探す範囲が決まってきます。

読解は細部を拾い集める前に、文章の中心をつかむほうが安定します。段落の役割から読むマクロ→ミクロの考え方は、読解の型マクロ→ミクロでも扱っています。指示語でも、段落が「問題の提示」なのか「具体例」なのか「まとめ」なのかを意識すると、直前だけに目が吸い寄せられにくくなります。

指示語は言葉ではなく、文の部品として見る

指示語には「これ」「そのこと」「このような」「それら」などがあります。形だけを見て、前の名詞を探し始めると、根拠探しが浅くなります。まずは指示語を含む一文を、短く区切って読んでください。

「その判断は早すぎる」のなら、主語は「その判断」、述語は「早すぎる」です。前に戻って探すべきなのは、単なる人物名や出来事ではなく、「早すぎる」と評価される判断の内容です。述語が求めている中身と合うものが戻り先の候補になります。

「これに反して」なら、後ろには対立する内容が続くはずです。「このように」なら、後ろで結論や説明が続き、前にはまとめられる事情や手順があることが多いでしょう。指示語の後ろは、戻り先を選ぶためのヒントです。前だけを読んで迷ったときほど、後ろを丁寧に読みます。

四手順で戻り先を絞る

問題用紙の余白でできるよう、手順を固定します。最初は少し時間がかかっても、同じ順で動かすことが大切です。

  1. 指示語を含む一文の主語と述語に印をつける
    「何が、どうした」「何を、どう考える」の形にします。助詞まで含めて見ると、「それ」が物を指すのか、理由や判断を指すのかが分かれます。

  2. 指示語の後ろにある説明・評価・接続を読む
    「だから」「しかし」「このため」や、評価の言葉に線を引きます。後ろの文が「何であるか」を説明しているなら、前には説明される内容があります。反対なら、前後の対比を探します。

  3. 前へ戻り、段落の役割に合う範囲を候補にする
    直前の一文で決めず、必要なら段落の始めまで戻ります。ただし、本文の最初から漫然と探すのではなく、後ろのヒントに合う文だけを候補にします。選択肢問題の即答法とは別に、本文の候補を置き換えて確かめます。

  4. 候補を指示語の場所へ戻して読んで検算する
    指示語を候補の言葉に置き換え、一文として自然に読めるかを確かめます。主語と述語がつながるか、接続の向きが合うか、後ろの説明が重複しすぎないかを見ます。この戻し読みが、答えを選んだ後の根拠探しになります。

四手順の中心は四番目です。戻り先を見つけるだけなら、似た言葉を拾って終われます。しかし設問では、「なぜその範囲なのか」を説明できる答案のほうが強い。検算までしておけば、選択肢でも記述でも根拠を本文に戻せます。

短い文章で実演する

次のような文を考えます。

「公園にベンチを増やす計画が出た。けれども、通路を狭くすれば車いすが通りにくくなる。そこで住民は、ベンチの数を減らして通路を広く取る案を選んだ。この判断は、利用する人の違いを考えた結果である。」

「この判断」が指す内容を問われたとします。直前の「案を選んだ」を答えにしてしまうと、何の案かが抜けます。また「通路を狭くすれば車いすが通りにくくなる」だけでは、判断そのものではなく理由です。

一番後ろを見ると、「利用する人の違いを考えた結果」と評価されています。そこで前へ戻ると、「ベンチの数を減らして通路を広く取る案を選んだ」が候補になります。「ベンチの数を減らして通路を広く取る案を選んだ判断は、利用する人の違いを考えた結果である」と置き換えると、主語と述語がつながります。これが検算です。

選択肢なら、理由だけを述べるもの、結論だけをぼかすもの、本文にない目的を足すものを消去法で外せます。選択肢の言いかえを確かめる読み方は、選択肢を解くための枠組みともつながります。正しそうな言葉を探すより、置き換えたときにどこが合わないかを示すほうが迷いにくくなります。

「一語」で答えるか、「一文」で答えるか

「これ」「それ」は一語に戻るように見えても、設問が「何を指すか」と聞くときは、意味が通る大きさで答えます。判断、事情、考え、方法といった抽象語なら、その中身を補わなければ採点者に伝わりません。

反対に、前の二文を全部写せば安全というわけでもありません。説明を求める記述では、戻り先にある情報を換言し、問われた形に整えます。「〜という判断」「〜という事情」のようにまとめると、範囲を意識しやすくなります。記述に直す段階での組み立ては、記述問題の五つの手順を使うと整理できます。

答えが長くなったときは、もう一度「指示語の後ろの述語」を見ます。「結果である」に対して理由を答えていないか。「問題だ」に対して出来事だけを答えていないか。問いが要求する大きさに合わせることも、検算の一部です。

家庭では一問を二回読む

演習で間違えた指示語の問題は、解説を読んで終えないほうが役に立ちます。本文を閉じずに、次の形で短く残してください。

  • 指示語を含む一文の主語と述語
  • 後ろにあったヒントの言葉
  • 最初に選んだ候補と、外した理由
  • 置き換えて読んだ一文
  • 答えを一語ではなく必要な大きさに直した形

親子で確認するときも、「どこを指すの」と先に答えを求めるより、「戻したら後ろの文は自然?」と聞き、置き換えた文を一緒に確かめます。短い段落で一日一問でも、探す順番が定着すれば、説明文でも物語文でも根拠の置き場所が見えやすくなります。

指示語は小さな設問ですが、本文へ戻る姿勢がそのまま表れます。直前に飛びつかず、文の働きを見て、後ろから候補を絞り、戻して確かめる。この往復ができると、傍線部の内容説明や理由を問う問題でも、根拠を言葉にしやすくなります。

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