LINEで相談

← ブログ一覧

中学受験国語の説明文で対比を見抜く読み方 反対語から論点をつかむ

「AとB、どちらの意見に近いか」と聞かれると、本文に書いてある言葉を適当に拾って答えてしまう子がいます。対比の文章を読んでいるのに、対比だと気づいていない。両方の話が出てきたことは覚えていても、筆者がどちらを支持しているのかを本文の中から判断できていないのです。こうした答案は、根拠を聞くと「なんとなく」としか言えません。

対比を見落とすと主張の方向を取り違える

説明的文章の多くは、二つの立場や状態を並べて書かれています。効率と手間、便利さと不便さ、都会と地方、自然と人工。こうした対になる言葉が出てきた時点で、筆者は比べることそのものを目的にしているわけではなく、比べることを通じてどちらか一方を評価しようとしています。

ここを見落とすと何が起きるか。両方の話を平等に読んでしまい、筆者がどちらに重心を置いているかが分からないまま設問に進むことになります。「筆者の考えに最も近いものを選びなさい」という選択肢問題で、AとBの両方の要素が混ざった選択肢に手を伸ばしてしまうのは、たいていこの状態です。マクロ→ミクロで読む型(こちらで詳しく解説しています)でいえば、対比の軸を掴むことは説明文におけるマクロの中心そのものです。マクロを対比として掴めていない子は、ミクロの精読に入っても、どの情報を重要と判断すればよいか分からず迷子になります。

反対語をペアで探し、二列に整理する

対比を見抜く一番手っ取り早い入り口は、反対語のペアを探すことです。本文を読みながら、次のような対になる言葉が出てきたら印をつけます。

  • 昔・以前 / 今・現代
  • 自然 / 人工
  • 効率・便利 / 手間・不便
  • 個人 / 社会・集団
  • 目に見える / 目に見えない

印をつけた言葉を、紙の上で二列に書き分けます。左列にA側の言葉、右列にB側の言葉を、出てきた順に並べていく。この作業をすると、本文中でAとBそれぞれについてどんな言葉が使われているかが一望できるようになります。読んでいる最中は気づかなかった偏り、例えばB側の言葉には「本当は」「実は」といった評価の言葉がよくくっついている、といった傾向が見えてくることがあります。

二列整理は、段落ごとの役割で読む方法と組み合わせるとさらに効果的です。例の段落・理由の段落がA側とB側のどちらに属しているかを合わせて記録しておくと、筆者がどちらの立場を厚く説明しているかが分量の面からも見えてきます。

筆者が重く置く側を根拠つきで判定する

二列に整理できたら、次はどちらを筆者が支持しているかを判定します。感覚で決めるのではなく、次の三つの根拠を順に確認します。

  • 逆接の接続詞の後ろにある側:「しかし」「だが」「けれども」の直後に置かれた側は、多くの場合、筆者がそちらへ話を進めたい側です。逆接の前は一般論やよくある見方、後ろが筆者の主張であることが多いという傾向を踏まえて確認します。
  • 評価語がついている側:「大切だ」「価値がある」「本当の」「実は」といった、評価や強調を表す言葉が寄り添っている側は、筆者が重く見ている側である可能性が高くなります。
  • 結論・まとめの段落で残っている側:文章の最後、まとめの段落でもう一度登場している側が、筆者が最終的に伝えたかった側です。文章の途中で両方の話が出てきても、まとめで片方しか触れられていなければ、そちらが本命だと判断できます。

三つの根拠が同じ側を指していれば、判定はほぼ確定します。根拠が割れる場合は、まとめの段落の記述を最優先にします。文章全体の中で、最後に置かれた情報がもっとも筆者の結論に近い位置にあるからです。

実演 設問を解く手順

架空の文章で流れを見てみます。ある説明文が、次のような構成だったとします。冒頭で「昔は近所の大人たちが子どもを見守り、叱ることもあった」という話から始まり、続けて「今は他人の子どもに口を出すことは少なくなった」という現在の状況が説明され、途中に「しかし、見守る目が減ったことで、子どもが困っていても気づかれにくくなっている」という一文が入り、最後に「地域のつながりを取り戻す工夫が必要だ」とまとめられているとします。

まず反対語のペアを探すと、昔と今という対比の軸がすぐに見つかります。二列に書き分けると、昔側には「見守る」「叱る」、今側には「口を出さない」「気づかれにくい」という言葉が並びます。ここで「しかし」の後ろに置かれているのは今側の弱点を指摘する内容であり、まとめの段落でも「つながりを取り戻す」という、昔側の価値を評価する方向で締めくくられています。三つの根拠がそろって昔側を支持しているので、筆者は今の状況を否定的に見て、昔にあった関係性を重く置いていると判定できます。

ここで「本文における対比の内容として最も適切なものを選びなさい」という選択肢問題が出たとします。即答法でまず選択肢を眺め、今側だけを肯定的に書いた選択肢や、昔と今を単に並べて優劣をつけていない選択肢を消去法で外します。残った選択肢のうち、昔にあった見守りの価値を評価し、今の状況の課題を指摘しているものが、根拠に一致する答えです。選択肢の作り、消去法の使い方は選択肢問題の解法フレームでも詳しく扱っていますので、対比の判定と組み合わせて練習すると精度が上がります。

記述問題であれば、この判定結果をそのまま解答の骨組みにします。「筆者はどのような社会を望ましいと考えているか」と問われれば、今側の課題(見守る目が減り、気づかれにくくなっている)に触れつつ、昔側の価値(見守り合う関係)を望ましいものとして書く、という構成になります。片方の側の説明だけで終わらせず、対比の両側に触れたうえで筆者がどちらを重く置いているかを示すと、根拠の厚い答案になります。

家庭でできる練習

家庭で取り組みやすい練習を二つ紹介します。

  • 説明文を読みながら、対になる言葉が出てきたら鉛筆で丸をつけ、余白に矢印でペアをつなぐ。ペアを見つける作業自体を、読みながらのゲームのように習慣づけます。
  • 読み終えたあと、二列の表を紙に書かせ、それぞれの列にどんな言葉が並んでいるかを声に出して確認させる。最後に「筆者はどっちを大事にしていたと思う」と聞き、根拠となる一文を本文から指させます。

対比は、慣れないうちは片方の話だけを覚えて終わってしまいがちです。それでも、反対語のペアを探して二列に整理する作業を繰り返すうちに、対比の文章を見た瞬間に「これはAとBのどちらを支持する話か」を意識しながら読めるようになっていきます。


個別指導のご相談

対比の判定は、コツを聞いただけでは身につきにくく、実際の文章で反対語のペアを探して二列に整理する作業を何度も繰り返してはじめて安定します。国語先生.COM の個別指導では、お子さんが対比のどちら側で読み違えているかを見ながら練習しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。