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中学受験国語の論説文で言い換えに気づく方法 同じ内容を線で結ぶ

抜き出し問題で、傍線部とまったく同じ言葉を本文から探し続けて見つからず、時間切れになる子がいます。選択肢問題では、本文の言葉をそのまま使った選択肢に飛びついて、実は内容が食い違う誤答を選んでしまうこともあります。どちらも、文章の中で同じ内容が言葉を変えて繰り返されていることに気づいていないのが原因です。

同じ内容が言葉を変えて何度も出てくる

論説文は、同じ主張を形を変えて何度も述べる文章です。抽象的な言葉でひとこと言い、具体例でかみ砕いて言い、まとめの段落でまた別の言葉で言い直す。読者を飽きさせないための工夫であり、同時に、理解を確かめさせるための工夫でもあります。ここでいう言い換えとは、指示語による明示的な言い換えだけでなく、抽象語と具体例、難しい表現とやさしい表現のように、形を変えた同じ内容の繰り返し全般を指します。

言い換えに気づけないとどうなるか

  • 抜き出し問題で、傍線部と同じ言葉ばかり探し、内容は合っているのに表現が違う一文を見落とす
  • 選択肢問題で、本文の言葉をそのまま使っただけの選択肢を選び、言葉は似ているが内容が食い違う誤答にひっかかる。逆に、内容は合っているが言葉を言い換えてある正しい選択肢を消去してしまうこともある
  • 記述問題で、傍線部の一文だけを根拠にして、離れた場所にある同じ内容の言い換えに気づかず、根拠不足の答案になる
  • 要旨問題で、文章のあちこちに散らばった同じ主張の言い換えを一つにまとめられず、印象に残った具体例の記述をそのまま要旨に書いてしまう

こうした失点は、語彙力そのものより気づきの問題であることが多いと感じます。難しい言葉の意味を知らないわけではなく、その言葉が少し前に出てきたやさしい言葉と同じことを指しているという気づきがないだけ、というケースをよく見ます。

言い換えの三つの型

論説文の言い換えは、おおまかに三つの型に整理できます。

  • 抽象語と具体例:「利便性」という抽象語が、後の段落で「ボタン一つで注文の品が届く」という具体例に言い換えられる。具体例が先に出て、後から抽象語でまとめ直される順番もある
  • 難しい表現と短いまとめ:「効率だけを追い求める姿勢」という長い説明が、後で「効率至上主義」という一語に圧縮される。逆に、難しい語がやさしい言葉に開き直されることもある
  • 指示語による言い換え:「そうした考え方」「この点」といった指示語が直前の内容を受けながら、次の文で別の言葉に接続していく

三つとも見た目の言葉は違いますが、指している中身は同じです。この「中身が同じ」という判断を、線で結ぶ作業を通じて目に見える形にしていきます。

線で結ぶ作業の手順

やり方はシンプルです。

  • 傍線部やキーワードに丸をつけたら、同じ内容を指していそうな箇所を本文の前後から探す
  • 見つけたら、二か所を線で結ぶ。離れた段落にある場合は、矢印を使って余白に書き込む
  • 線で結んだ二つの表現のうち、よりやさしく短い方を「意味の基準」として使う

最初から本文全体に線を引こうとする必要はありません。まず傍線部の言い換えを一つ見つける。それができたら、他の抽象語や難しい表現にも同じ作業を広げていく、という順で慣らしていくと定着しやすくなります。

実演 設問を解く手順

架空の文章で流れを見てみます。ある論説文が「情報が瞬時に手に入る便利さの裏側で、考える時間そのものが失われつつある」という主張から始まり、途中で「検索すれば数秒で答えが出る、だから最後まで自分で考えようとする前に、つい画面に答えを求めてしまう」という具体的な説明が続き、傍線部として「思考の空洞化」という表現が置かれ、最後に「即座に答えを得られる環境は、自分の頭で粘り強く考える力を奪う」とまとめられているとします。

ここで「傍線部『思考の空洞化』とはどういうことか、説明しなさい」という設問が出たとします。マクロ→ミクロの型(読解の型で詳しく解説しています)に沿ってまず全体の主張を確認したうえで、「思考の空洞化」という難語をそのまま説明しようとするのではなく、同じ内容を指している別の表現を本文から探します。具体例の段落にある「最後まで自分で考えようとする前に画面に答えを求めてしまう」という一文と、まとめの段落にある「自分の頭で粘り強く考える力を奪う」という一文が、線で結べる候補になります。この二つを見比べると、まとめ側の表現のほうが傍線部と近い抽象度でまとまっているため、解答の骨組みにはまとめ側の表現を主に使い、具体例側の内容を補足として添える形になります。

選択肢問題であれば、即答法でまず選択肢を眺め、傍線部の言葉をそのまま繰り返しただけの選択肢や、具体例の固有の内容(検索、画面)だけを答えにした選択肢を消去法で外します。線で結んだ二つの表現の両方に対応した選択肢が残れば、それが正解に近い一つです。具体例と主張のつなぎ方はこちらでも扱っているので、言い換え探しと合わせて練習すると効果的です。

要旨問題への使い回し

要旨問題は、文章全体に散らばった言い換えを一つに集める作業そのものです。線で結ぶ作業を段落ごとに続けていくと、文章の中で同じ主張が何度も形を変えて登場していることが見えてきます。要旨をまとめる際は、もっとも繰り返し登場した内容、あるいは最後に置かれたまとめの表現を軸に選ぶと、具体例の細部に引っ張られにくくなります。要旨や傍線部説明を記述で書く場合、本文の言葉をそのまま貼り付けるのではなく、設問の聞き方に合わせて換言する作業が必要になる場面も多く、この点は記述の5ステップでも触れています。

家庭でできる練習

  • 論説文を読みながら、抽象的で難しい言葉に丸をつけ、同じ内容を指しているやさしい表現を本文の前後から探して線で結ばせる
  • 線で結んだペアを声に出して読ませ、「この二つは同じことを言っている」と説明させる。うまく説明できなければ、まだ線の結び方が違っている可能性がある

言い換えに気づく力は、一度の説明で身につくものではありません。線で結ぶ作業を繰り返すうちに、難しい言葉を見た瞬間に「これ、さっきのあの話と同じでは」と本文を前に戻る癖が自然とついていきます。


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言い換えに気づく練習は、実際の文章で線を結ぶ作業を何度も繰り返してはじめて安定します。国語先生.COM の個別指導では、お子さんがどの型の言い換えで詰まっているかを見ながら練習しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。