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親が国語を教えると失敗しやすい理由と関わり方

「算数は教えられるのに、国語だけはうまくいかない」。中学受験の保護者からよく聞く悩みです。

問題集を横で見ながら「ここはこう読むんだよ」と教えると、その場では子どもはうなずきます。ところが次の問題になると、また同じところで間違える。教えたはずなのに定着しない。この繰り返しに疲れて、最終的に親子で口論になってしまうご家庭は少なくありません。

これは根性や相性の問題ではなく、国語という科目の性質と、親が教えるという関わり方の相性が悪いことが原因である場合が多いです。

親が「正解」を教えると何が起きるか

国語の設問、特に選択肢問題では、正しい記号にたどり着くまでの過程がそのまま得点力になります。本文のどこに根拠があるかを探し、選択肢の言葉を本文の言葉に置きかえて照らし合わせ、消去法で外れるものを外していく。この根拠探しの手順を自分で組み立てられるかどうかが、初見の文章での安定性を決めます。

ところが親が横で「これは違うでしょう、こっちだよ」と教えてしまうと、子どもは本文に戻って根拠を探す前に、親の口調や表情からヒントを拾うようになります。親が少し強めに「本当にそれでいいの」と聞き返すだけで、子どもは反射的に選択肢を変えます。本文を読み直したわけではなく、親の反応を手がかりに答えを推測しているだけです。

この状態が続くと、正答率は一時的に上がって見えても、根拠探しという肝心の力は育ちません。模試のように親が横にいない場面になると、途端に成績が崩れるのはこのためです。教えているつもりが、実際には子どもから根拠探しの練習機会を奪ってしまっているという構造があります。

具体例で見る、教えることの落とし穴

たとえば、ある説明文の傍線部について「筆者がこう考える理由として最も適切なものを選びなさい」という設問があるとします。子どもがアと答え、親が「違うよ、ウでしょう」と正解を告げたとします。

ここで多くの家庭は、正しい記号を確認して次の問題に進んでしまいます。しかし本当に確認すべきなのは、子どもがなぜアを選んだのかという理由と、ウが正しい根拠は本文のどの一文にあるのかという二点です。傍線部の言葉を、本文の別の箇所にある言葉に言いかえられるかどうか、つまり換言の力がここでは問われています。

正解だけを告げて終わると、子どもの中には「この問題はウだった」という一問の記憶しか残りません。次に似た構造の問題が出たとき、また一から迷うことになります。教えるという行為が、実は最も再現性の低い勉強法になってしまっているのです。

聞き役に回るという関わり方

親にできて効果的なのは、正解を教えることではなく、子ども自身に根拠を言語化させる質問役に徹することです。具体的には次のような聞き方が有効です。

  • なぜその記号を選んだのか、本文のどの部分を根拠にしたのかを聞く
  • 丸つけの前に、まず消去法でどの選択肢をどんな理由で外したのかを説明させる
  • 傍線部の言葉を、自分の言葉、あるいは本文の別の言葉に言いかえさせてみる
  • 文章全体でまず何が書いてあったか、大づかみに要約させてから、傍線部というミクロな部分の話に入る

最後の点は、読解の型として指導でも使っているマクロ→ミクロの考え方に近いものです。文章全体の主張や構造をつかまないまま傍線部だけを読むと、根拠のない思い込みで解答してしまいがちです。この型については別記事でも詳しく解説しています。

こうした聞き方を続けると、最初は子どもの答えがしどろもどろで、正直かなりまだるっこしく感じられると思います。それでも、答えを教えるよりも聞くことに徹したほうが、長い目で見ると読解の再現性が上がっていきます。選択肢問題の解法をより体系的に知りたい場合は、中学受験国語の選択肢問題|即答法と消去法の使い分けも参考にしてください。

それでも親では難しいところ

聞き役に徹する関わり方は有効ですが、限界もあります。ひとつは記述問題の丸つけです。模範解答と表現が違うとき、部分点をどう判断するかは経験がないと難しく、甘くつけすぎても厳しくつけすぎても子どもの感覚がずれていきます。このあたりは中学受験国語 記述の採点基準と親の丸つけ7チェックで詳しく扱っています。

もうひとつは、親子という関係そのものが持つ難しさです。他人になら冷静に聞ける「なぜそう思ったの」という一言も、親が言うと詰問のように聞こえてしまうことがあります。子どもの側も、親の前では素直に「わからない」と言いにくく、見栄やその場しのぎで答えてしまうことがあります。こうした感情の距離は、教え方を工夫するだけでは解消しきれません。

読解の型そのものについては中学受験国語の偏差値を上げる読解の型|マクロ→ミクロで読むにまとめていますので、親子で一緒に読んでみるのもひとつの方法です。それでも家庭内でのすれ違いが続く場合は、第三者である指導者が間に入り、子どもの根拠探しの過程を客観的に見ながら伴走するほうが、結果として近道になることが多いです。

個別指導のご相談

国語の読解力を伸ばすには、正解を教えることよりも、子ども自身が根拠を探し、言葉にする過程を積み重ねることが欠かせません。親子だけではどうしても感情的になってしまう、根拠の言語化をどう引き出せばよいかわからないという場合は、個別指導という選択肢もあります。国語の指導にご関心があれば、国語先生.COM、または公式LINEからお気軽にご相談ください。