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中学受験国語の抜き出しで似た候補が二か所にあるときの選び方

本文に似た候補が二か所あり、どちらを抜き出すか迷ったときは、設問と文脈を確かめます。候補の一部が同じでも、字数、範囲、文脈が違えば答えは一つに定まります。

字数や指定語を見落とす失敗は、条件確認の段階で防げます。その手順は「抜き出しの条件確認」の記事に書きました。ここで扱うのはその次の場面です。条件は確認した、候補も見つけた、しかし同じ言葉が二か所にあって決められない。この場面だけを取り上げます。

なぜ似た候補が二か所に出てくるのか

説明文でも物語文でも、同じ話題に関わる言葉や表現が繰り返されます。筆者は最初に話題として出し、あとで言いかえたり、まとめ直したりするからです。

似た表現でも、説明している人物や出来事、内容の範囲が違うことがあります。ただし、抜き出す文字列が完全に同一なら、どちらの場所から写しても答案は同じです。場所の違いだけで正誤が変わるわけではありません。ここでは、似ているが内容や範囲の違う候補を比べます。

それぞれの候補が、設問の条件に合うかを順に確かめます。

決める道具は「設問の文末」と「指定語」

候補が二つあるときは、本文をもう一度読み込むより先に、設問文に戻ります。見るのは二点です。

  • 設問の文末。「〜こと」なのか「〜から」なのか「〜という考え方」なのか。答えがそのまま文末につながるかどうかで、形の合わない候補が落ちます。
  • 指定語。「本文中の言葉で」「『〜』という語を使って」のような指示があれば、その語の前後に置かれた箇所が有力になります。

候補の前後まで読むと、人物、時点、説明する内容が分かります。文末へのつながりだけでなく、設問が求める内容を答えているかも確かめます。

例題で実演する

架空の説明文を使います。本文には次のような二か所があるとします。

一か所目(第二段落):「たとえば、朝に窓を開ける家庭は多い。」

二か所目(第五段落、傍線部の直前):「筆者が大切にしているのは、朝に窓を開けて空気を入れかえる、という小さな習慣である。この習慣は、一日の気持ちを切りかえるきっかけになる。」

設問はこうです。

「傍線部『この習慣』とは、どのような習慣か。『〜習慣。』につながる形で、本文中から二十字以内で抜き出しなさい。」

手順を追います。

  1. 条件を確認する。文末は「〜習慣。」につながる形、二十字以内。傍線部は「この習慣」という指示語を含んでいます。
  2. 候補を拾う。一か所目の「朝に窓を開ける」と、二か所目の「朝に窓を開けて空気を入れかえる」が候補です。文字数は前者が7字、後者が15字で、どちらも二十字以内です。
  3. 傍線部との関係を見る。「この習慣」は直前の二か所目で述べた、筆者が大切にしている習慣を指します。一か所目は一般的な例です。
  4. 本文の連続した文字列をそのまま書く。解答欄には「朝に窓を開けて空気を入れかえる」の15字を書きます。指定の「習慣。」につながり、二十字以内にも収まります。

この例では、筆者が大切にする習慣の内容を、空気の入れかえまで含めて抜き出しました。一か所目の文の前後には、「多くの家庭で見られる」という一般論の色が付いています。傍線部が話題にしているのは、筆者が語る一つの習慣ですから、役割が合いません。

物語文の場合は「誰の気持ちか」を先に見る

物語文では、同じ言葉が別の場面で、別の人物の気持ちとして出てくることがあります。たとえば「悔しい」という言葉が、前半では主人公、後半では友達について使われていたら、設問が問う人物は片方だけです。

この場合は、次の順で見ます。

  • 設問が問うのは誰の、いつの気持ちか
  • 二つの候補は、それぞれ誰のことを書いた文か
  • 傍線部と同じ場面にあるのはどちらか

主語を取り違えたまま抜き出す失敗は、選択肢問題でも起きます。そちらは選択肢の主語と対象の記事で扱っていますが、抜き出しでも根は同じです。

それでも決まらないときの順番

文末に接続しても、位置を見ても、二つとも成り立つように見える場合があります。そのときは、次の順番で見てください。

  1. 候補の前後を読み、設問が問う人物・時点・内容と合うかを確かめる。傍線部からの距離だけで決めない
  2. 一か所目と二か所目で、前後の接続語を見る。「たとえば」「つまり」「しかし」などが、その箇所の役割を教えてくれます
  3. 文章全体の流れ、つまりマクロの位置を見る。話題を出す部分なのか、結論に近い部分なのかを押さえる。全体から細部へ降りていく読み方は、読解の型としてこちらの記事にまとめています

「どちらか迷うから、字数がちょうどのほうにする」というのは、根拠のない選び方です。字数が合うことは必要条件であって、正しさの証拠ではありません。

家庭でできる練習

過去問を解き直す必要はありません。すでに丸つけの終わった抜き出し問題から、できます。

  • 答案を見て、抜き出した言葉と同じものが本文に二回出ていないか探す。もしあれば、もう一方に印を付ける
  • 二か所それぞれに、「話の入り口」「言いかえ」「例」「まとめ」のうち、どの働きかを書き込む
  • 設問の文末に、両方を実際につなげて声に出して読み、不自然なほうを消す
  • 最後に、「なぜこちらを選んだか」を一文で言う。「傍線部の直前で、指示語が受けているから」のように、根拠が言えれば合格です

保護者の方が丸つけをするときは、正解かどうかよりも、「もう一か所には何て書いてあった?」と聞いてみてください。同じ言葉が二回あったことに気づいているかどうかが、この力の入口です。気づいていない場合は、答えが合っていても、たまたまの可能性があります。

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