中学受験国語の抜き出し問題で条件を落とさない 字数・文末・範囲の確認法
「内容は合っているのに、字数が違ってバツになった」。抜き出し問題の答案を見ていると、この種の失点が意外と多いことに気づきます。本文中の該当箇所は正しく見つけている。読解自体は間違っていない。それでも点が入らない。原因は探し方ではなく、見つけたあとの確認不足にあります。
抜き出し問題は、答えの箇所を探す力と、指定された条件どおりに書き抜く力の、二段構えでできています。前者でつまずく子についてはこちらの記事で手がかりの探し方を扱いましたが、今日は後者、見つけたあとに条件を満たしているかを確認する段階を扱います。
条件落ちはケアレスミスではない
「字数を数え忘れた」「文末を直し忘れた」と聞くと、注意力の問題に見えます。ですが実際に子どもの解き方を観察すると、そもそも設問文の条件を読む段階を持っていないことがほとんどです。
設問文には、探すべき内容の条件(理由、心情、様子など)と、書き抜く形式の条件(字数、文末、範囲、開始語)の二種類が同時に書かれています。多くの子は前者だけを読み取って本文に向かい、後者は答えを書く直前になって初めて設問文に戻って確認します。この順番だと、内容に気を取られたまま形式条件を後回しにするため、見落としが起きやすくなります。
形式条件は、探し始める前にチェック欄として分けておくと、見落としがぐっと減ります。
探す前に確認する四つの欄
本文に戻る前に、設問文から次の四つを取り出して書き出させます。
- 字数 「二十字以内」「三十字ちょうど」「二十五字以上三十字以内」など、上限・下限・ちょうど、のどの型か
- 文末 「〜こと」「〜から」「〜という考え」など、抜き出す部分がどんな形で終わるべきか
- 指定範囲 「本文全体から」「三段落目までで」「二重傍線部より後で」など、探してよい範囲がどこまでか
- 開始語 「最初の五字」「〜という語句を含む一文」など、抜き出しの起点が指定されているか
この四つを紙の端にでも書き出してから本文に向かうと、探している最中にも「この候補は字数が合わない」と早い段階で切り捨てられます。逆にこの欄を作らずに探すと、内容が合っていそうな箇所を見つけた時点で満足してしまい、字数や文末を後回しにしたまま解答欄を埋めてしまいます。
見つけた候補を条件で絞る
候補が本文中に複数見つかることもあります。この場合、内容の正しさだけでなく、四つの条件のどれを満たしどれを満たさないかで比較すると、選ぶべき候補が絞り込めます。
例えば「主人公が転校を決意した理由を、二十五字以内で抜き出しなさい」という設問があったとします。本文中には理由らしき箇所が二か所あるとします。一つは「新しい環境で自分を変えたいと思ったから」(十九字)、もう一つは「友達との別れがつらくて、新しい環境で自分を変えたいと思うようになったから」(三十六字を超える)。内容としてはどちらも理由を表していますが、後者は字数条件から外れます。この段階で機械的に候補から消去できるのが、条件確認を先にしておく利点です。
文末条件も同様に働きます。「理由」を問う設問で文末が「〜から」「〜ため」で終わっていない候補は、内容が理由を表していても、そのままでは減点対象になります。文末を条件に合わせて言い換えるところまでが、抜き出し問題の解答です。この言い換えの発想は、記述問題で使う換言の力と同じものです。記述の手順を段階的に踏む練習はこちらの記事にまとめています。
指定範囲と開始語は、候補を探す前の段階でふるいにかける条件です。「三段落目までで」と指定されているのに四段落目にある候補を答えにしてしまうミスはよくあります。範囲外にどれだけ良い候補があっても、条件から外れていれば不正解です。開始語の指定がある設問では、抜き出す一文の頭がその語で始まっているかを最後にもう一度確認します。
条件が単純な設問は、候補が一つに絞れた時点でほぼ即答法で解けます。一方、字数・文末・範囲が同時に効いてくる設問は、候補を並べて消去法で削っていく作業が必要になります。この見極めも、探す前に四つの欄を確認しておけば自然につきます。
読解の土台となる本文全体の掴み方についてはこちらの記事でマクロ→ミクロの型を扱っていますが、抜き出し問題における条件確認は、このミクロの段階、つまり傍線部や設問の指示を精読する部分に位置づけられます。マクロで大まかな該当範囲を予想し、ミクロで条件を一つずつ照合する、という二段構えは他の設問形式と変わりません。
家庭でできる練習
- 抜き出し問題を解かせる前に、字数・文末・範囲・開始語の四つを設問文に線を引かせて確認させる
- 答え合わせのとき、不正解だった原因が内容のズレか条件落ちかを分けて記録する
- 候補が複数見つかった設問だけを集めて、条件で絞り込む練習を繰り返す
- 解答を書いたあと、書く前ではなく書いたあとにもう一度四つの条件と照らし合わせる習慣をつける
最後の項目が特に効果的です。書く前の確認だけでは、探している途中で条件を忘れてしまうことがあります。書き終えた直後にもう一度照合する二段階チェックにしておくと、条件落ちの多くはその場で自分で気づけるようになります。
抜き出し問題の点数が安定しない場合、内容の読み取りより先に、この形式条件の確認欄が抜けていないかを見直してみてください。読解力そのものは足りているのに、確認の手順が抜けているだけというケースは、実際の指導の中でも珍しくありません。
個別指導のご相談
字数や文末の条件をどこまで厳密に見るかは、実際の答案を見ながら一緒に確認するとつかみやすくなります。家庭での練習だけでは条件落ちの癖が抜けにくいと感じたら、国語先生.COM の個別指導で答案を見ながら調整することもできます。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからどうぞ。