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中学受験国語の物語文で人物関係が混乱する子へ 矢印で整理する方法

物語文の設問に答えるとき、「誰が言ったのか」「誰に対しての行動なのか」を取り違えて選択肢を外す子がいます。本文の内容自体は読めているのに、傍線部の主語を隣の人物と勘違いしていたり、「その人」が誰を指すのか曖昧なまま読み進めていたりする。これは読解力そのものというより、人物関係の整理不足が原因であることが多いです。

人物関係で混乱する子の答案の特徴

人物関係を取り違える子の答案には、いくつか共通するパターンがあります。

  • 傍線部の主語を、直前に出てきた別の人物だと思い込んでいる
  • 「彼」「その子」「先輩」など呼び方が変わった瞬間に、同一人物だと気づけなくなる
  • 誰が誰に話しかけているのか、会話文だけを追っていて発言者を取り違える
  • 兄弟姉妹や友人同士など、立場が近い人物が複数出てくると誰が誰だか分からなくなる

物語文では、同じ人物でも場面によって「美咲」「妹」「あの子」「彼女」のように呼び名が変わります。文章としては自然な工夫ですが、読む側からすると同一人物だと確認する作業が挟まるぶん、負荷がかかります。この負荷に気づかないまま読み進めると、途中でどこかの人物を取り違え、以降の場面すべてを誤読したまま設問に進んでしまいます。

矢印メモの基本ルール

こうした取り違えを防ぐために勧めているのが、人物同士の関係を矢印で書き出す一枚メモです。ルールは単純で、「誰が」「誰に」「何をした・何と言った」を、矢印でつないで本文の余白に書き出していきます。

  • 人物名は最初に出てきた呼び方をそのまま使う(あとで別の呼び名が出てきても同じ枠に統一する)
  • 動作や発言のたびに「A→B:内容」の形で一行にする
  • 会話文は誰の発言かを確認してから矢印を引く(セリフの直前直後にある「〜と言った」「〜が答えた」を根拠にする)
  • 呼び名が変わった箇所には印をつけ、同一人物であることを自分の中で確定させる

この作業はミクロの精読と並行して行います。マクロで場面全体の流れをつかんだうえで、ミクロで人物関係を確定させるという順序は、読解の型そのものと同じです。読解の基本になる型についてはこちらの記事で詳しく扱っています。

実演:呼び名が変わる場面で矢印を引く

架空の場面で実演します。「小学6年生の陸が、幼なじみの春香と学校からの帰り道で、春香の兄である健太と偶然会う」という場面を考えます。

陸は、春香が最近元気がないことに気づいていた。「どうしたの」と声をかけると、春香は目をそらして「別に」とだけ答えた。そこへ健太が自転車で通りかかり、「春香、また塾サボったのか」と声を荒げた。妹は何も言い返さず、うつむいたまま歩き出した。

この場面を矢印メモにすると、次のようになります。

  • 陸→春香:「どうしたの」と声をかける
  • 春香→陸:「別に」と答える(目をそらす)
  • 健太→春香:「また塾サボったのか」と声を荒げる
  • 春香→(反応なし):うつむいたまま歩き出す

ここで注意したいのが「妹」という呼び方です。文中では健太との関係で「妹」と表現されていますが、これは春香のことです。矢印メモの段階で「妹=春香」と確認しておかないと、次の設問で「妹の行動について説明しなさい」と聞かれたときに、誰の話をしているのか一瞬で判断できなくなります。呼び名が変わった瞬間にメモへ印をつけておくのは、このためです。

選択肢問題・記述問題での使い方

人物関係が矢印で整理できていると、選択肢問題では消去法がそのまま使えるようになります。例えば「陸は春香の態度に腹を立てた」という選択肢があった場合、矢印メモを見れば陸から春香への行動は「声をかける」だけで、腹を立てるという行動は記録されていません。この時点で根拠なしと判断でき、即答法で消去できます。逆に「健太が春香を叱った」という選択肢は、矢印メモの3行目とそのまま対応するため、残す候補になります。

記述問題では、傍線部の主語と対象を取り違えたまま書き始めると、要素を正しく集めていても文全体が的外れになります。「春香が何も言い返さなかった理由を説明しなさい」という設問であれば、矢印メモの4行目に注目し、その直前にある健太の発言を根拠として拾いにいきます。記述の組み立て方そのものについてはこちらの記事で扱っているので、根拠探しの手順と合わせて使うと精度が上がります。

家庭でできる練習

矢印メモは、いきなり入試レベルの文章で始める必要はありません。まずは登場人物が2人だけの短い場面から練習すると取り組みやすくなります。

  • 読み終えた段落ごとに、その場面に出てきた矢印を1〜2本だけ書き出させる
  • 「この呼び方は誰のこと」と口頭で確認する時間を挟む(答えられなければ、その場で本文に戻らせる)
  • 登場人物が3人以上になる場面では、矢印メモを見ながら誰と誰の関係かを説明させる

最初は時間がかかりますが、慣れてくると矢印を引く作業自体が速くなり、読みながら同時に整理できるようになっていきます。人物関係の混乱は、語彙力や読解力とは別の技術で防げる部分が大きいです。選択肢の絞り込み方についてはこちらの記事でも扱っているので、矢印メモで整理した根拠を選択肢と照らし合わせる練習に役立ててください。


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