中学受験国語でテスト直しを嫌がる子への短時間復習メニュー
模試が返ってくるたびに、テスト直しをめぐって親子で衝突する。そういう相談は少なくありません。「せっかく塾で頑張ってきたのに、直しになると急にやる気をなくす」「机には向かうけど、正解を写すだけで終わっている」といった声をよく聞きます。
多くの家庭が最初につまずくのは、テスト直しを「全問やり直すもの」だと思い込んでいる点です。大問が4つ、設問が20問近くある模試を全部直そうとすれば、1時間以上かかることもめずらしくありません。すでに疲れている子どもにその作業を求めれば、嫌がるのはむしろ自然な反応です。
対処法はシンプルです。全問直しをやめて、根拠探しの1問と記述の1問だけに絞る。量を減らす分、1問にかける思考の密度を上げていきます。
全問直しがうまくいかない理由
テスト直しの目的は、間違えた問題の正解を覚えることではありません。次の文章でも同じ手順を使えるように、根拠の見つけ方や考え方の型を身につけることです。ところが設問を20問すべて直そうとすると、1問あたりにかけられる時間が短くなり、結局「答えを写して終わり」という作業に近づいていきます。量を増やすほど質が下がるという、直しにありがちな逆転が起きるわけです。
さらに、疲れた状態で長時間の直しに向き合わせると、子どもの側には「テスト直し=苦痛な時間」という記憶だけが残ります。この記憶が積み重なると、直しそのものへの抵抗が強くなり、次のテストが返ってきたときにも同じ衝突が繰り返されます。
短時間で効果を出すには、直す問題数を減らし、その分だけ1問にかける思考の密度を上げる方が理にかなっています。
直す問題を2問だけに絞る
具体的には、テストが返ってきたら直す問題を次の2問だけに絞ります。
- 根拠探し1問 選択肢問題や抜き出し問題の中から、本文のどこに根拠があったかを確認できる1問
- 記述1問 部分点はあったが満点ではなかった記述問題のうち、直しやすそうな1問
選ぶ基準は「間違えた問題の中でいちばん惜しかったもの」です。まったく歯が立たなかった問題より、あと一歩で正解に届きそうだった問題の方が、直しの効果が出やすいという特徴があります。全滅に近い設問は、そもそも読解の土台がまだ整っていないことが多く、1回の直しでは埋まりません。惜しかった問題であれば、根拠の見落としや言いかえの精度など、直しで修正できる範囲の原因である場合が多いからです。
2問という数は、少なすぎるように感じるかもしれません。ですが、1問を丁寧に直せば、その中で使った根拠探しや消去法の手順は、直していない他の設問にも応用が利きます。量ではなく、1問の直しをどこまで深くできるかが復習の質を決めます。
実演 15分でできる直しメニュー
架空の物語文で、実際の流れを見てみます。傍線部は「太郎は黙って窓の外を見ていた」で、設問は「このときの太郎の気持ちとして最も適切なものを選びなさい」だったとします。
まず、正解を確認する前に本文へ戻り、傍線部の前後を読み直します。ここで使うのがマクロ→ミクロの手順です。段落全体で場面がどう動いているかを先に掴んでから、傍線部という細部に戻ります。今回の場面が「友達と言い合いになった直後」だと分かれば、太郎の沈黙は単なる無関心ではなく、感情を抑えている状態だと見当がつきます。
次に、選択肢を1つずつ本文と照合します。即答法で「これだ」と決めつけず、消去法で選択肢を削っていくのが基本です。「太郎は友達に興味を失った」という選択肢があれば、これは場面の流れと矛盾するので消去できます。「太郎は言い返したい気持ちを抑えていた」という選択肢が残れば、根拠探しで本文のどの一文が対応するかを確認します。このあたりの選択肢の絞り方は選択肢問題の即答法と消去法の使い分けで詳しく扱っています。
記述の直しでは、正解例をそのまま覚えさせるのではなく、自分の答案と正解例を並べて「本文のどこから言えるか」を確認させます。要素が抜けていた場合は、その要素が本文のどの一文に対応していたかを本人に指させます。書き方の手順そのものが曖昧なまま直しをすると、どこがずれていたのかを言葉にしにくいので、記述の型がまだ定着していない場合は先にそちらを固めておくと直しの効果が出やすくなります。
この2問を合わせて、目安は15分です。長くても20分を超えないようにすると、集中力が切れる前に終えられます。
親子バトルを避ける運用ルール
テスト直しで衝突が起きるのは、たいてい「なぜ間違えたのか」を問い詰める形になったときです。子どもからすれば、間違えた事実はすでに分かっていて、そこを繰り返し指摘されると防御的になります。運用で気をつけたいのは次の点です。
- 直しは点数が返ってきた当日ではなく、1〜2日空けてから行う(感情が落ち着いてからの方が本人も冷静に見返せる)
- 「なんで間違えたの」ではなく「本文のどこにヒントがあったか一緒に探そう」と、原因追及ではなく根拠探しの作業として声をかける
- 親が先に正解や理由を言わない(先に言われると、子どもは自分で考える前に受け身になる)
- 直す問題は子どもと一緒に選ぶ(親が一方的に「この問題をやりなさい」と指定すると、やらされ感が強くなる)
記述の直しでは、正解を教える前にヒントの出し方を工夫すると、親子のやり取りが穏やかになります。この声かけの具体例は記述を親が見直すときの声かけと言い換え練習にまとめているので、記述1問の直しをするときはあわせて参考にしてください。
15分という時間の枠を決めておくことも、バトルを防ぐ実用的な工夫です。終わりの時間が見えていれば、子どもも見通しを持って取り組みやすく、親も「もっとやらせたい」という気持ちを抑えやすくなります。
家庭での実践スケジュール
短時間メニューは、毎回のテストごとに次の手順で回します。
- テスト返却から1〜2日後、間違えた問題の中から根拠探し1問と記述1問を子どもと一緒に選ぶ
- 15分を目安に、正解を見る前に本文へ戻って根拠を探させる
- 直した内容を一言でメモしておく(ノートに残すと、次回同じ型のミスが出たときに見比べられる)
- 次のテストが返ってきたら、前回のメモを先に見返してから新しい2問を選ぶ
直した内容をノートに残して積み重ねていく方法は別の記事で詳しく扱っています。全問直しをやめても、この2問を毎回きちんと積み重ねていけば、本文のどこを見て考えるかという読み方の土台は少しずつ育っていきます。読み方の土台そのものを見直したい場合は偏差値を上げる読解の型 マクロ→ミクロで読むもあわせて読んでおくと、根拠探しの精度が上がりやすくなります。
個別指導のご相談
直す問題の選び方や声かけの加減は、家庭だけで判断するのが難しい場面もあります。テスト直しの進め方について相談したい方は、国語先生.COM をご覧いただくか、公式LINE からお気軽にお問い合わせください。