LINEで相談

← ブログ一覧

中学受験国語の記述で書く道筋を作る、因果を並べてから肉付けする

下書きで「主語・理由・本文語句」を書き出せるようになった子が、次にぶつかる壁があります。材料はメモ欄に並んでいるのに、いざ一文につなげようとすると、どの言葉から書き始めればいいのか決まらず、また手が止まってしまうという壁です。材料を集める段階は越えたのに、材料を組み立てる段階でまた詰まる。材料のつながりを短い言葉と矢印で示すのが「道筋作り」です。

下書きのやり方自体はこちらの記事で扱いました。下書きの前に、設問から答えの文末と条件を決め、必要な要素と本文の根拠を選びます。下書きができたら、すぐに清書せず、短い言葉同士のつながりを確かめます。

材料があっても組み立てられない理由

下書きで書き出した「主語・理由・本文語句」は、それぞれ独立した断片です。断片のままでは、どれが先に来てどれが後に来るのか、文の中での役割が決まっていません。多くの子はこの状態からいきなり完成文を書こうとして、材料のどれをどの順番で使うかを頭の中だけで判断しようとします。

この判断には、実は二つの作業が隠れています。一つは材料同士のつながり方を見抜く作業、もう一つはそのつながりを日本語の文として整える作業です。下書きで内容と文の形を分けたはずなのに、組み立ての段階でまたこの二つが一緒になってしまうと、結局同じ理由で手が止まります。道筋作りは、つながり方を見抜く作業だけを先に済ませておくための工程です。

理由と心情では材料の並べ方を変える

理由と心情を問う記述では、次の二つの並べ方を使い分けます。

  • 原因から結果への道筋。理由問題や、傍線部の行動の背景を説明する設問で使う。本文中の出来事を「原因→結果」の順に並べる
  • 出来事から心情への道筋。気持ちを問う設問で使う。本文中の出来事を先に置き、その出来事が心情にどう影響したかを後に続ける

どちらの道筋を使うかは、設問の種類を見れば決まります。「なぜ」「どうして」と聞かれていれば原因から結果、「このときの気持ち」「どんな思いで」と聞かれていれば出来事から心情です。設問の聞き方を確認するのは、答えの文末と条件を決めるゴール設定の段階です。迷うのは道筋の種類ではなく、その道筋の中に下書きの材料をどう配置するかのほうです。

因果の道筋そのものの詳しい確認手順はこちらの記事で扱っています。下書きの語句を並べるときも、単に起きた順に置くのではなく、何が原因で何が結果なのかを確かめます。

原因から結果へ並べる手順

架空の例で考えます。本文には、太一が「誰にも心配をかけたくなかった」ため、足の痛みを黙っていたと書かれているとします。設問は「なぜ太一は足の痛みを周囲に言わなかったのか」です。

  • 主語:太一
  • 理由:周囲に心配をかけたくない
  • 本文語句:「誰にも心配をかけたくなかった」

結果の位置には、設問にある「足の痛みを周囲に言わなかった」を置きます。その前に、本文に書かれた理由を置きます。「周囲に心配をかけたくなかった→足の痛みを言わなかった」という道筋です。足に痛みがあること自体は、痛みを隠した理由にはなりません。起きた出来事と、その行動を選んだ理由を分けます。

この道筋を文にすると、「周囲に心配をかけたくなかったから。」と答えられます。設問の内容も含めて練習するなら、「周囲に心配をかけたくなかったから、足の痛みを言わなかった。」となります。実際の答案は、指定された字数や答え方に合わせます。

矢印は、材料を並べれば何でも結べる記号ではありません。「なぜそうしたのか」と逆向きに問い直し、本文の理由で説明できるかを確かめます。説明がつながらなければ、接続語を足して取り繕わず、根拠を探し直します。

出来事から心情へ並べる手順

気持ちを問う設問では、順番の作り方が少し変わります。こちらも架空の例で、設問が「このときの由紀の気持ちを説明しなさい」で、傍線部が「由紀は黙ってうつむいた」だとします。下書きの材料は次の通りです。

  • 主語:由紀
  • 理由:約束/破られた/がっかり
  • 本文語句:「楽しみにしていたのに」「何も言えなくなった」

ここでの道筋は、出来事を先に置き、その出来事が心情にどう作用したかを後に続ける形です。まず出来事を特定します。「約束が破られた」が出来事です。次に、その出来事によって生まれた心情を、変化のある場合はその変化も含めて並べます。楽しみにしていた気持ちがあり、約束が破られたことでがっかりし、その結果何も言えなくなった。気持ちを答えるための道筋は「楽しみにしていた約束→約束が破られた→がっかりした」です。「何も言えなくなった」は、その心情が表れた様子として確認します。

原因から結果の道筋と形は似ていますが、出来事から心情の道筋では最後に置くのが行動ではなく心情であることが多い点が違います。傍線部が行動(うつむいた)であっても、設問が聞いているのは心情なので、道筋の終着点は心情の言葉に置きます。「楽しみにしていた約束を破られ、がっかりした気持ち。」という形に整えれば答案になります。

道筋をメモに書く

道筋作りは、下書きの3行に矢印を書き足すだけでできます。紙の上での作業は次のようになります。

  1. 設問を読み、答えの文末、字数、ふれるべき内容や要素の数をメモする
  2. 必要な要素ごとに本文の根拠を探し、下書きに残す。条件に対して材料が足りているかを確認する
  3. ゴールに向けて材料を因果や心情の変化の順に並べ、矢印でつなぐ。声に出して読み、つながりを確かめる
  4. 文に整えたあと、文末・字数・必要な要素を最初のメモと照合する

この手順の3番目が特に効果的です。文字にする前に声に出して読むことで、文を書く作業に入る前に道筋のおかしさを見つけられます。文を書いてしまったあとで直すより、道筋の段階で直すほうが時間も手間もかかりません。

道筋作りでよくあるつまずき

  • 材料を並べる順番を、本文に出てきた順番のまま使ってしまう。本文の記述順と、答案で語るべき因果や心情の順番は一致しないことがある。道筋は本文の順ではなく、原因→結果または出来事→心情の論理の順で作る
  • 道筋に材料を全部入れようとする。下書きに書いた語句のうち、設問に答えるために必要なものを選ぶ。数で上限を決めず、必要な要素は残し、重複や設問に関係のない材料を外す
  • 設問に合う文末を決めずに材料を並べ始める。先に「〜から。」「〜気持ち。」などのゴールを決め、そのゴールを説明する順に材料を並べる。最後に読み直して、文末と内容が設問に合っているかを確認する

家庭でできる練習

一つめは、下書きの3行ができたあと、清書する前に必ず矢印を書く練習です。「主語・理由・本文語句」のメモの横に、材料をどの順で使うかを矢印でつないでから文を書かせます。慣れるまでは保護者が「これとこれ、どっちが先に起きたこと」と声をかけるだけでも、順番を意識するきっかけになります。

二つめは、完成した答案から道筋を逆にたどらせる練習です。書き終えた答案を読んで、「原因はどこ、結果はどこ」あるいは「出来事はどこ、気持ちはどこ」を指で示させます。道筋がはっきり答案の中に残っていれば指し示せますが、道筋が崩れている答案は、どこが原因でどこが結果か本人も説明できないことが多く、見直すべき箇所がすぐに分かります。

慣れたら、同じ場面について理由を問う設問と心情を問う設問を比べます。それぞれに答える材料が本文にあることを確認し、必要な語句と文末がどう変わるかを見ます。材料が足りないときは、想像で補わず本文へ戻ります。

道筋作りは、下書きと清書の間に挟む小さな工程ですが、ここを飛ばして材料からいきなり文を組み立てようとする子ほど、同じ場所で何度も手が止まります。材料を集める力があるなら、次はその材料を正しい順番に並べる練習に進むとよいでしょう。本文全体をマクロでとらえ、傍線部という一点をミクロで読む基本の読み方はこちらの記事で整理しています。

個別指導のご相談

道筋作りは、最初のうちは一人で順番を見極めるのが難しい工程でもあります。うまく定着しない場合は、国語先生.COMの個別指導で一緒に手順を確認することもできます。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。