中学受験国語の記述でゴールを先に決める、設問を答えの設計図にする
本文の内容が合っていて、字数にも収まっているのに、設問に答えていない。そんな答案は、問い・条件・答え方を読み直します。理由を求められたのか、気持ちや変化を求められたのかを確かめてから、本文の根拠に戻ります。
設問の大まかな話題だけをつかんで本文に向かうと、「二つ挙げる」「きっかけにふれる」といった条件を落とすことがあります。書く前に、何をどの形で答えるかを決めておきます。
設問は問いではなく設計図
設問文を、単に「何を聞かれているか」として読むのではなく、「答えの設計図」として読み直してみます。次の観点で、明示された条件と、問いに合う答え方を確認します。
- 問い:何を答えればよいか(理由、心情、様子、変化など)
- 条件:本文中の言葉を使うか、字数はいくつか、いくつ挙げるか、何にふれるか
- 文末:「〜こと」「〜から」「〜気持ち」など、答えをどう終えるか
この三つを設問文から先に抜き出してしまえば、本文に向かう前に答えの輪郭がほぼ決まります。輪郭が決まった状態で本文を読むのと、輪郭なしで本文を読むのとでは、拾う材料がまったく違ってきます。記述問題を解く5つのステップの最初に行うのが、このゴール設定です。
三つを抜き出す練習
例えば「主人公が最後に笑顔を見せたのはなぜか、きっかけとなった出来事にふれて、四十字以内で説明しなさい」という設問があったとします。
これを三つに分けると次のようになります。
- 問い:なぜ笑顔を見せたか(理由)
- 条件:きっかけとなった出来事にふれる、四十字以内
- 文末:「〜から。」
この三つを余白に書き出した時点で、理由の答え方として「〜から。」を仮に選べます。文末の指定がある場合はそれを優先します。さらに「きっかけとなった出来事」という条件があるので、本文から探すべきものは、感情の説明だけではなく、本文で笑顔のきっかけとして描かれた出来事だと分かります。この時点で、本文のどこを探すかがかなり絞られます。
設問文の条件部分を見落とす癖がある場合は、条件だけを狙って確認する手順を設問条件を読み落とす子への10秒チェックで扱っているので、あわせて確認すると抜き出しの精度が上がります。
ゴールが答えの末尾を決める
文末を仮に決めると、何を答える設問かを確認できます。文末が決まっていれば、本文から何を探しても、最後は同じ形にまとめ直すという意識が働きます。
逆に文末を決めずに本文を読み始めると、見つけた材料をそのまま文章にしてしまい、理由を聞かれているのに「うれしい気持ち。」だけで終えることがあります。「〜から。」の形にしたうえで、その気持ちになった出来事や事情まで説明できているかを確かめます。文末が合っていても、理由の中身が足りなければ答えにはなりません。
文末を先に決めるやり方は、換言(言いかえ)の力とも関係します。本文の必要な語句を残し、設問の聞き方に合う文に整えます。換言が必要なときは、文末だけでなく、指示語や抽象語の中身を本文の具体的な表現で説明します。
条件が集める要素の数を決める
ゴールの文末が決まったら、次に条件を見て、必要な要素の数を判断します。「きっかけとなった出来事にふれて」とあれば、少なくとも出来事という要素が1つは必要です。その出来事と笑顔との関係を説明するために、どの心情を添える必要があるかも本文で確かめます。
ここで、要素の数を最初から一定にしてしまう子がいますが、それは危険です。短い理由記述なら要素は1つで足りることもありますし、長い説明記述なら3つ必要なこともあります。字数は答案をまとめる際の制約です。必要な要素は、設問の条件と本文の根拠を照合して決めます。
字数だけで要素の数を固定しないようにします。同じ四十字でも、出来事と心情を書く問題と、二つの理由を並べる問題では必要な材料が違います。「二つの理由を」のように数が明示されている場合は、その数に従います。数の指定がなければ、設問の条件と本文の根拠を照らし合わせて判断します。
設計図を先に埋めてから本文へ向かう
実際の練習では、本文を読む前に次の表のような欄を余白に作ってから読み始めると、設計図の考え方が体に残りやすくなります。
| 欄 | 書く内容 | 先の例での答え |
|---|---|---|
| 問い | 何を答えるか | なぜ笑顔を見せたか |
| 文末 | 答えの終わり方 | 〜から。 |
| 条件 | 字数・ふれるべき点 | 40字以内、きっかけの出来事 |
| 要素の見当 | いくつ必要か | 出来事1つ+心情のつながり |
この欄を埋めた状態で本文に戻ると、探しているものが「笑顔につながる出来事」であることがはっきりしているので、本文中の複数の出来事から関係のないものを消去法で外しやすくなります。マクロ(本文全体の流れ)をつかんだうえでミクロに降りて該当箇所を探す読み方は、読解の型マクロ→ミクロ〈軸〉で扱っている考え方と同じ構造です。設計図を埋める作業は、この読み方を記述の設問に当てはめたものと考えると分かりやすいかもしれません。
家庭での練習
ゴール設定だけを取り出して練習する場合、最後まで答案を書かせる必要はありません。設問を読んだ直後に、次の三つだけを紙に書かせます。
- 問いは何か(一言で)
- 文末はどう終わるか
- 条件はいくつあり、それぞれ何を要求しているか
この三点が書けていれば、答案そのものを書かずに次の設問へ進んでも構いません。狙いは、設問を読んだ瞬間に設計図を作る動作を、本文を読む前の習慣として定着させることです。
- 過去に解いた記述問題を5問ほど選び、答案を見ずに設問文だけを読み直す
- それぞれの問い・文末・条件を声に出して言わせる
- 実際の答案が、問いの内容と指定された答え方に合っているか確認する
- 問いに答えられていない設問を選び、本文に戻って必要な要素を探す
指定と異なる文末になっていた場合は、条件を見落としたのかを確かめます。指定がなければ、仮に決めた文末と違っても、問いに答えられていれば直す必要はありません。語尾だけでなく、本文の必要な材料が入っているかも見直します。
個別指導のご相談
設問をどこまで深く読めているかは、本人の答案だけでは見えにくい部分です。設計図を埋める練習をひとりで続けるのが難しいと感じたら、国語先生.COMの個別指導で、設問の読み方から一緒に確認することもできます。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。