中学受験国語の記述で文末がずれる子へ 設問に合わせる答え方
「このときの太郎の気持ちを説明しなさい」という設問に、「試合に負けて悔しかったから。」と書いてくる子がいます。出来事も心情の方向もだいたい合っているのに、この答案は聞かれていることに正しく応えていません。気持ちを聞かれているのに、理由を答える形で文が終わっているからです。
内容が本文からずれているわけではなく、文末だけがずれている答案は、添削をしていると想像以上によく出てきます。中身を直すより先に、答えの終わり方を設問に合わせる練習をしたほうが早く点数が安定する子も少なくありません。
文末のずれがなぜ減点につながるのか
記述の採点は、内容が合っているかどうかだけでなく、設問の聞き方に正しい形で応えているかどうかも見られます。「なぜ」と聞かれたら理由で終わり、「どのようなこと」と聞かれたら内容で終わる。これは形式的な約束事ですが、守れていないと、内容点があっても形式点が落ちる、あるいは採点者に「設問を読めていない」という印象を与えてしまいます。
子ども自身は、本文から正しい情報を見つけてきているつもりなので、文末がずれていることに気づきにくいところがあります。探してきた内容は合っているという安心感が、文末の確認を後回しにさせてしまうのです。
設問語と文末の対応
まず押さえておきたいのは、設問の聞き方によって、答えの文末がほぼ決まっているという点です。
| 設問の聞き方 | 対応する文末 |
|---|---|
| なぜ、理由 | 〜から。/〜ため。 |
| どのようなことか、内容 | 〜こと。 |
| どのような気持ちか、心情 | 心情語で終える(悔しさ・戸惑い・安心など) |
| どのような様子か | 〜様子。/〜な様子。 |
| どう変わったか、変化 | 〜(という)変化。/〜ようになったこと。 |
この対応は、選択肢問題で選択肢を先にざっと見て設問の型を判断する即答法と似た発想です。本文を読み込む前に、まず設問の最後の言葉を見て、答えをどの文末で締めるかを先に決めてしまいます。文末を先に決めておけば、本文から探すべき情報の種類も自然と絞られます。理由なら原因になる出来事や心情を、内容なら出来事そのものを、気持ちなら心情語に置き換えられる描写を探せばよいと分かるからです。
混同しやすい三つの型
添削をしていると、文末の取り違えにはいくつか決まったパターンがあります。
- 気持ちを聞かれて、理由で終える:「〜と思ったから。」で締めてしまい、心情語がどこにも出てこない
- 理由を聞かれて、内容で終える:「〜ということ。」で締めてしまい、なぜそうなったかが答えの外に置き去りになる
- 様子を聞かれて、心情語だけで終える:「悲しかった。」のように気持ちの言葉だけで済ませ、様子として観察できる状態が書かれていない
三つとも、本文根拠そのものは合っていることが多い点が共通しています。根拠探しは正しくできているのに、それを設問の求める形に落とし込む最後の一手間が抜けてしまっているのです。ここは換言、つまり本文の表現を設問に合う形へ言いかえる作業とも重なります。
設問例で手順を実演する
架空の場面で確認します。
「太郎は、リレーの最終走者としてバトンを受け取ったとき、前の走者との差がほとんど埋まらないまま渡されたことに気づいた。歯を食いしばって走ったが、ゴール直前で二人抜くのがやっとだった。走り終えた太郎は、悔しさよりも、最後まで全力を出し切れたという思いのほうが強く残っていることに気づいた。」
ここで「ゴールした直後の太郎の気持ちを説明しなさい」と問われたとします。
- 文末の確認:設問語は「気持ち」なので、答えは心情語で終える
- 傍線部の周辺から根拠探し:「悔しさよりも、最後まで全力を出し切れたという思いのほうが強く残っている」
- 換言して組み立て:悔しさより、力を出し切ったという満足感が上回っている
失敗しやすい答案は「二人抜いて全力を出し切ったから。」です。出来事としては合っていますが、これは理由の文末であり、気持ちを聞かれた設問には対応していません。設問語に合わせるなら、「二人抜いて全力を出し切ったという満足感。」のように、答えの最後を心情語で締める必要があります。
同じ場面文で「太郎がゴール直前で二人抜けたのはなぜか、説明しなさい」と問われれば、今度は文末を「〜から。」に変えます。「差がほとんど埋まらないまま渡されたバトンに気づき、歯を食いしばって走ったから。」のように、出来事を理由の形でつなぎます。同じ本文根拠でも、設問語が変われば文末も答えの組み立ても変わるという点が、この単元でいちばん見落とされやすいところです。理由問題そのものの解き方は理由問題の解き方で詳しく扱っています。
書いた後の見直し手順
文末のずれは、書く前より書いた後の確認で見つけやすい失点です。次の手順で見直します。
- 設問文の最後の言葉(なぜ・どのようなこと・どのような気持ち・どのような様子)に丸をつける
- 自分の答案の文末だけを指で隠さずに読み、丸をつけた言葉と対応しているか確認する
- 気持ちを聞かれているのに心情語がなければ、根拠の中から心情に近い表現を探して置き換える
- 理由を聞かれているのに「から」「ため」で終わっていなければ、文の並びを入れ替えて理由の形に組み直す
この確認は、本文を見ながらではなく、設問文と答案の二つだけを見て行うのがコツです。本文を見ながら確認すると、内容が合っているという安心感につられて、文末のずれを見落としやすくなります。
マクロで文の役割を把握しておく
文末のずれが多い子は、本文を読む段階で、その一文が理由の説明なのか、心情の説明なのか、出来事の説明なのかを区別せずに読んでいることがよくあります。本文全体の流れをマクロでつかみ、どの段落が理由にあたり、どの段落が心情の変化にあたるかを意識しながら読めていると、設問語と文末を対応させる作業もスムーズになります。読み方の土台は読解の型 マクロ→ミクロ〈軸〉でまとめています。文末を合わせる作業は、記述の書き方の基本である記述問題の書き方5ステップのうち、最後の見直しの段階に位置づけて練習すると定着しやすくなります。
家庭でできる練習
- 過去に書いた記述答案を集め、設問の最後の言葉と、答案の文末だけを並べて書き出し、対応しているか一つずつ確認する
- 「なぜ」「どのようなこと」「どのような気持ち」を混ぜたミニ設問を数問用意し、内容は考えずに文末だけを正しく合わせる練習をする
- 気持ちを聞かれた設問では、答案の最後に心情語が入っているかを、赤ペンで丸をつけて確認する習慣をつける
内容が合っているのに点数が伸びない答案は、まず文末から疑ってみると、直すべき箇所が案外はっきりします。多くの場合、原因の探し方よりも、答えの終わらせ方を設問に合わせる意識のほうが不足しています。
個別指導のご相談
文末のずれは自分の答案だけを見ていると気づきにくく、設問文と並べて確認してくれる相手がいると直しやすくなります。国語先生.COMの個別指導では、お子さんの答案を設問と照らし合わせながら、文末の対応まで含めて確認しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。