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中学受験国語の比喩を説明する、たとえと本文の意味を結ぶ方法

「傍線部『心に鍵をかけた』とはどういうことか、説明しなさい」という問題に、「心に鍵をかけたということ」とだけ書いて提出する子がいます。本人は「鍵をかける」という表現の意味を分かっているつもりでいますが、答案としては傍線部を繰り返しただけで、何の説明にもなっていません。比喩は、字面のまま扱うと必ずこの状態に陥ります。

比喩は「たとえ」であって「事実」ではない

比喩表現は、ある物事を別の物事にたとえることで、印象や性質を強く伝える技法です。「心に鍵をかけた」は文字通り心臓に金属の鍵をかけたわけではなく、人に本心を見せなくなった、という心理状態をたとえた表現です。

ここでつまずく子の多くは、比喩を「特別な言い回し」として素通りしてしまいます。傍線部に比喩が含まれていることに気づかず、そのまま抜き出したり、字面の意味で解釈したりして、本文が伝えたい内容からずれた答案を書いてしまいます。まず必要なのは、傍線部を読んだ瞬間に「これはたとえだ」と気づくことです。

比喩を見抜くサインを覚える

比喩は指示語ほど分かりやすい印だけではありませんが、いくつかのサインで見抜けます。

  • 「〜のような」「〜みたいな」がついている直喩
  • 「〜のようだ」がなくても、明らかに事実として成立しない表現(「心に鍵をかける」「時間が凍りつく」など)の隠喩
  • 人でないものを人のように描く擬人法(「風が笑う」「机が待っている」など)

これらの表現が傍線部やその周辺にある場合、内容説明の設問では、たとえが指す具体的な内容を本文から確かめます。設問の聞き方自体は「どういうことか」型と同じで、傍線部の言葉を本文の具体的な内容に置き換える換言(言いかえ)の作業です。この換言全般の考え方は「どういうことですか」に答える手順でも扱っているので、比喩以外の指示語・抽象語を含む設問ではあわせて確認しておくと整理しやすくなります。

たとえの対象と似ている点を本文から探す

比喩を説明するときに見るべきものは二つだけです。一つは、何がたとえられているか(たとえの対象)。もう一つは、そのたとえが持っているイメージのうち、対象のどの性質と重なっているか(似ている点)です。

「心に鍵をかけた」であれば、たとえの対象は人物の心の状態です。鍵というたとえが持つイメージは、閉じている、外から開けられない、中身が見えない、といったものです。このうち、本文の場面と重なる性質はどれかを、傍線部の前後から探します。

例えば、こういう場面があるとします。

「クラスの誰にも本当の気持ちを話さなくなった太郎は、友達の心配そうな視線にも気づかないふりをした。誰かが近づいてくると、さりげなく話題を変えてしまう。太郎は心に鍵をかけていた。」

この場面から分かるのは、太郎が本心を人に見せなくなった、話題を変えて心を開かないようにしている、という具体的な行動です。鍵というたとえの「閉じている」「中身を見せない」という性質と、この行動がぴったり重なります。ここまで確認できて、初めて比喩を本文の言葉に置き換える準備が整います。

短い文に言い換える

似ている点が見つかったら、比喩が指す内容を、その点に沿って短い文にします。「心に鍵をかけていた」なら、「自分の本当の気持ちを、周りの人に見せないようにしていた」という一文になります。鍵、開ける、閉じるといった比喩の語彙を使う場合も、本文の具体的な行動や状態を説明できているかを確かめます。

ここで注意したいのは、たとえの持つイメージをすべて盛り込もうとしないことです。鍵には「なくすと開けられない」「誰かに渡せば開けてもらえる」といった性質もありますが、本文の場面と関係のない性質まで答案に詰め込むと、かえって的外れな説明になります。本文が実際に描いている行動や状況と重なる性質だけを選ぶのが、精読の分かれ目です。

選択肢問題での比喩の扱い方

選択肢問題で比喩が絡む場合も、考え方は同じです。即答法で本文から比喩の意味を考えてから選択肢を見て、比喩の言葉をそのまま字義通りに解釈した選択肢(「本当に鍵をかけて心を閉ざした」のような解釈)は、消去法で本文と照合して外します。

残った選択肢のうち、傍線部の比喩が指している具体的な行動や状態に、正しく対応しているものを根拠探しで確定します。ここで役立つのが、本文全体の流れを先に掴んでおくことです。太郎が心を閉ざした理由や、その後の変化を本文全体から把握していれば、比喩の指す内容を狭い範囲で誤解するリスクが減ります。本文全体をどの順序で読むかについては読解の型 マクロ→ミクロ〈軸〉で詳しく扱っています。

記述問題での手順まとめ

比喩を含む内容説明の記述問題は、次の手順で解きます。

  1. 傍線部を読み、直喩・隠喩・擬人法のいずれかのサインがないか確認する
  2. たとえの対象(誰の、何の状態か)を特定する
  3. そのたとえが持つイメージのうち、本文の場面と重なる性質を絞り込む
  4. 比喩の語彙を使わずに、その性質を具体的な行動や状態として一文にする
  5. 書いた文を音読し、比喩の言葉がそのまま残っていないか確認する

この手順のうち3番が最も時間がかかりますが、ここを省いて4に飛ぶと、たとえのイメージだけで答案を作ってしまい、本文の具体的な場面と合わない説明になりがちです。記述答案全体の組み立て方は記述問題を5ステップで解く方法にも整理しているので、比喩以外の設問でも共通する部分として参考にしてください。

家庭でできる練習

  • 文章中に比喩表現を見つけたら、その都度「これは何をたとえている?」と聞いてみる。すぐに答えられなければ、たとえの対象を特定する練習が必要な段階だと分かる
  • 見つけた比喩について、「たとえの言葉を使わずに説明して」と言い直させる。鍵、壁、扉といった比喩の語彙が口から出てきたら、まだ言い換えが済んでいない
  • 答案を書いたあと、比喩が指す内容を本文の具体的な言葉で説明できているかを自分で確かめる

比喩は、本文の中の具体的な事実や心情を、別の言葉で印象づける表現です。たとえが本文のどの行動や状態を指すかを確かめれば、内容説明の設問で根拠を探せます。

個別指導のご相談

比喩の扱いは、どの性質を拾い、どこまで具体化すればよいかの感覚を、実際の文章と答案を通じて身につけていくのが近道です。国語先生.COMの個別指導では、お子さんの答案を見ながら一緒に練習しています。ご相談は公式サイトまたは公式LINEからお気軽にどうぞ。